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鬼還奇譚

鬼還奇譚

七町藍路

おすすめレビュー

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★★★
★33
11人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • 馳月基矢
    357件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    人と鬼の生きざまが交わる。哀しき者、あるべき場所に還れ。

    山越えの旧街道を抜けた先、軍服姿の男が至った。
    その男、志麻は里長に呼ばれた「オニカエシ」だ。
    里は妖に魅入られたか、待ち続けても春が来ない。
    いや、命の気配が一切ないのだ、冬とも呼べない。

    鬼と対峙して戦うが、第一義は討つことではなく、
    鬼を返し、帰し、あるいは還すが「オニカエシ」。
    兄ちゃんと呼ばれる年齢に似ず手練れの志麻だが、
    軍刀を抜くその胸に葛藤や哀惜がない訳ではない。

    端正で冷静な筆致が綴る、物悲しげな鬼の生き様。
    おぞましい、おそろしい、と言えるかもしれない。
    けれども、恐怖や残酷さ以上に強く感ずることは、
    「この物語は美しい」ということにほかならない。

    都会で西洋化が進む一方、里山に古風の残る時代、
    陸軍属オニカエシの一員、志麻の任務は継続する。
    心地よく身を委ね、入り込める物語は貴重である。
    すごく好きだと直感できる作品に出会えて嬉しい。

    • 2017年1月7日 17:00