新天地に到着しました

 とあるインターチェンジにある飲食店内の配信スペースで、現状報告をメインとしたゲリラ配信を終えた俺は、叔父の車に再び乗って、高速道路を駆け抜けた。

 暫く走り抜けて、一般道に入り暫く走ると宮津駅が見えてきた。


「目印の宮津駅が見えてきたぞ。 ここから東寄りに攻略者向けのアパートがある」


「駅からは?」


「徒歩で15分くらいだ。 まぁ、ダンジョンへ行くなら専用スマホに搭載されてる転送魔法でひとっ飛びだろうけど」


 これから住むアパートは、今見えている宮津駅から東寄りに徒歩で15分掛けた先にある。

 ただ、ダンジョンに行くなら拠点と指定されたダンジョン限定で転送できる魔法を搭載した専用スマホがある。

 これもドローンと同じく国から……というより【ダンジョン対策庁】から支給されたモノで、プライベート用のスマホも当然持っている。


「幸い専用スマホで拠点変更の手続きをするだけでOKなのが救いですね。 わざわざ役所まで手続きに行かなくて済みますから」


「確か攻略者ライセンスは、全自治体に既に共有されてるんだったか」


「はい。 活動拠点を変える度にわざわざ役所に登録するのは手間だろうと、今の首相がやってくれましたしね」


 ダンジョンを攻略する際に、かつ【ダンジョンライバー】として活動する為に必要な攻略者ライセンスは国から発行され、そのデータは全自治体にも共有されている。

 その為、報酬を貰うためにわざわざ役所でそこで活動のための登録をしなくてすむ。

 攻略者専用スマホで、拠点変更の手続きをするだけで十分なのだ。

 これのおかげで、攻略者としてもダンジョンライバーとしてもやりやすくなっているのは有り難い。


「お、そろそろ目的のアパートに着くな。 攻略者向けのアパートだから、防音もあるし、アパートにしては広めだ。 俺の妹が大家をしてるから、アパート関連で困ったことがあったら彼女にも言うようにな」


「彩音さんがですね? 分かりました」


 そろそろ目的のアパートに着くようなので、車から降りる準備をしよう。

 一部の荷物は、叔父さんが部屋まで運んでくれるようだ。

 ドローンやパソコン関係などは、俺が運ぶのだ。


「おーい、来たぞー」


「あら、兄さん、よく来たわね。 零時くんもようこそ」


「これからお世話になります、彩音あやねさん」


「構わないわ。 ここは攻略者向けのアパートだし。 配信用の部屋には防音壁を仕込んでるから好きな時に配信するようにね」


「はい」


 先に叔父さんが言っていたが、この攻略者向けのアパートを運営している大家は、叔父さんの妹である彩音あやねさんだ。

 父さんが叔父さん経由で報告をしてくれてたのだろう。

 大家の部屋の前で、既に待機していた。


「零時くんが住むのは、1階の角部屋ね。 他の部屋よりは広めになってるからね」


「いい部屋が取れたんですね」


貞行さだゆき兄さんのおかげでね。 私もあの別の甥っ子とか姪っ子はあんまり関わり合いたくない位だしね」


 なんというか……。

 叔父さんもそうだが、彩音さんもあの兄と妹を嫌ってるみたいだ。

 どうも、あの配信がきっかけではなさそうだけど、聞かない方がいいんだろうなぁ……。


 なお、貞行というのは俺の父さんの下の名前で、フルネームは岡崎おかざき 貞行さだゆきという。


「また、ここから徒歩で駅前にいけるから、装備や日用品などはそこで買うといいわね。 あと、役所も駅から徒歩5分の所にあるからね」


「ええ、そうします。 徒歩ならいけない距離ではないですし」


 ここは役所も駅から近いのか。

 となると、報酬を貰いつつその帰りに何かを買ってからでもいいかも知れないな。


「じゃあ、荷物を運びこむぞ」


「はい。 パソコンとかは俺が持ちます」


「せっかくだし、私も手伝うわ」


 彩音さんの手伝いもあってか、おかげで荷物の運び込みは最短の時間で済むことが出来た。

 後の整理とかはゆっくりしていくといいだろう。

 なお、荷物の運び込みが終わった後で、叔父さんは現在の住まいの網野へと向かって行ったようだ。

 彩音さんも、大家の仕事の為に大家の部屋へと入っていく。


「さて、せっかくだし掲示板でも見てからダンジョン検索でもしますか」


 部屋に入り、パソコンとドローンを置いた俺は、まずプライベート用のスマホで攻略者関連の掲示板を見てみる事にした。

 あいつらの動向が気になるしな。

 それから、専用スマホで宮津駅周辺のダンジョンを探してみようか。


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