天橋立のダンジョン（前編）
「さて、今回は
あの妹によるやらかしが掲示板で発覚した後、法律違反で俺や両親に影響が出るんじゃないかと考えてしまい、あまり眠ることができなかった。
とはいえ、拠点を変えてのダンジョン攻略の配信を延期するわけにはいかないので、今回は
《ゼロ、大丈夫か？》
《無理はしないほうが……？》
《心なしか眠たそうだ。 眠れてないのが分かるが、何があったんだ？》
やっぱり、配信での様子は視聴者には分かっているのか、心配のコメントが多数だ。
今回のダンジョンのレベルは１だが、抱え込んだままでは攻略もままならないので、正直に話すか……。
「実は、例の三人の中の一人が、どうも酷いやらかしをした事が掲示板を見て判明したんですよ。 それから色々気になって眠れなくて」
《あー、あれか》
《理解した。 【えりなチャンネル】だったか？ 確か今はＢＡＮされてるけど》
《そういや、あの女は既に先に悪魔型の超獣と戦闘をしている所を割り込んではソロでワンパンしたって……》
《あれか！ ニュースで見たぞ。 未だにネットじゃ信者が発狂してたな》
《俺も見たな。 共闘している４つのライバーグループと超獣の間に割り込んでは勝手に超獣をワンパンで倒しては、『この程度の雑魚に』とかで見下していたって》
《あれは、国も問題視して、運営にチャンネルのＢＡＮ申請をしていたらしい。 ダンジョン攻略者法の第１３条を明確に違反してるから》
「それです。 で、酷い時は禁固刑で前科付きっていうのも書かれてたので、そこが心配になって……」
正直に話すと、コメント欄もその件で盛り上がる。
やはり、ニュースにもなっていたらしく、えりなチャンネルの主で妹だった
ただ、国の会見では、絵里奈は明確に【ダンジョン攻略者法】の第１３条に明確に違反したという事で、チャンネルＢＡＮを申請したそうだ。
それがすぐに通ったようだ。
ただ、違反の内容によっては両親や俺に影響があるんじゃと思い、なかなか眠れなかった事を打ち明ける。
《【ダンジョン攻略法に強い弁護士】 禁固刑になるのは、他の攻略者を殺害したり、承認なく置いてきぼりにした場合ですよ》
そこに自称弁護士を名乗るアカウントがコメントで説明してくる。
前科付きとなる禁固刑になるのは、他の攻略者を殺害したり、承認なく置いてきぼりにした時らしい。
後者はいわゆる『ここは俺に任せて早く逃げろ！』という感じなのだろうか？
それ以外で仲間を置いて逃げた場合も禁固刑になるらしい。
《【ダンジョン攻略法に強い弁護士】 今回はソロで他の攻略者を殺していないので、禁固刑にはならないですね。 しかし、ライセンスが剥奪されてブラックリスト入りもされるので、再び攻略者に戻る事はできないでしょう。 罰金も高いですし》
《弁護士ニキ、流石です！》
《えりなは、最悪泡の世界でヒーヒー言わないとダメなわけか》
《やっぱり、弁護士ニキはしっかり答えてくれて助かる》
つまり、前科が付かなければ、家族には影響がなく、俺の活動も普通にできるのだろう。
そこは少しだけ安心した。
「ありがとうございます。 これで何とか安心してダンジョン攻略に挑めます。 では、早速ダンジョンに入りましょう」
少しだけ安心したので、これで公園に出現したダンジョンに挑める。
俺は、公園の入り口に現れた歪みの中に飛び込んだ。
それがダンジョンへの入り口だからね。
「さて、ダンジョンの中に飛び込みましたが、見事に森の中にいますね」
《公園から森林とか、かなりヤバいよな》
《これがレベル１のダンジョンなんだろう？ 不気味だよなぁ》
《エネミーはどんな奴が出て来るんだろうか？》
ダンジョンの中は一風変わって森林の中にいる感じだ。
コメント欄も不安そうに見ている事が分かる。
「ただ、このダンジョンは構造が簡易なので、すぐにボスの所には行けそうですね。 入り組んでいるように見えて一本道なので、道沿いに歩きましょうか」
ドローンの向こう側にいる視聴者に向けて、俺はダンジョンの構造を教え、そのままボスへ向かう。
レベル１のダンジョンなので、構造自体は簡易だ。
仕掛けもないので、すぐにボス部屋に向かう事が可能だ。
入り組んでいるような感じだが、実際にはボス部屋までくねくねした道を歩くだけなのだ。
だが、俺はここでどうも無意識に一瞬おかしな行動をしていたようだ。
視聴者に突っ込まれるまで、気付かなかった。
《何だ、今のアクションは！？》
《マル〇イユルーレットかな？》
《東〇ターンでしょ？》
《恐ろしく細かいガバムーブ！ 俺でなきゃ見逃しちゃうね！》
《やっぱりまだ動揺してんだよなぁ。 終わったら休んで、どうぞ》
おかしな行動に視聴者がツッコミを入れたり、心配してたりする。
というか、【マル〇イユルーレット】とか【東〇ターン】とか一体何だそれは？
《￥２５０００ 【アリスちゃんねる】 新天地での活動、応援してるのです。 何か色々あったみたいですが、アリスはゼロ兄様を見捨てないのです》
（アリスちゃん！？）
そこにまたしてもアリスちゃんが赤いお布施と共にコメントをしてきた。
あの子も例の話を知っているみたいだが、俺を見捨てないとコメントしたことで、視聴者も盛り上がる。
「あ、ありがとうアリスちゃん。 俺、頑張るよ」
《アリスちゃん、再び！！》
《アリスちゃん、ゼロにぞっこんじゃないのか！？》
《早くアリスちゃんとコラボするんだよ、おう、あくしろよ》
《せっかちニキは嫌われるぞー》
やはり、アリスちゃんが来ると同時接続数もかなり上がる。
彼女がコメントしてくるまででも多いと思っているが、現在はその２倍だ。
流石は有名なチーム飛鳥の一人で、神童攻略者は格が違った。
「おっと、敵が出ましたね。 あれは、【トレント】ですかね」
暫くコメントで盛り上がりながら簡易的な構造のダンジョンを進んでいると、エネミーが出現した。
森林のダンジョンらしく、【トレント】という木に化けたエネミーが出現したようだ。
さて、一応倒し方を見せておかなきゃな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。