決して恵まれた環境ではない中で、茫然と孤独の中を生きる鈴夏。
茫然とした印象の中にも、強さや懸命さを見出すことができる筆者様独特のタッチが、まるで割り切れない人間性を表すようで素晴らしいです。
そんなある日知ったお盆の迎え火。
死者を迎えるための灯火。
亡き祖父を思いレシートを燃やす彼女の姿に思わず込み上げるものがありました。
虚無と優しさ。無垢と穢れ。
繊細で壊れてしまいそうな、しかしどこかしぶとく、生命力に満ちたような、類稀なる筆致で描かれた至高の短編です。
夏の宵のお供にぜひとも手にとって欲しい作品です。
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