怪3.正体

前述:Lyric Rainbowって書きにくいのでこの怪から略します。by隔離された人感センサー



さて、当日。


雨音が休んだ…

LRのライブに先生含めて全員で行く予定だったのに。

浮かれれないままバスに乗り込んだ…



ふと、バスの静寂を誰かが切り裂いた。

「このライブ、HPに書いてない…」

「…っ!」

HPに書いてない?偽ライブ?ありえない。わけがわからなすぎる。一昨日見たものもそう。どうなってるの。真実を知りたい。


バスが停車した。あまり大きいところでは無かった。座席数は、30席。そこに、後で置かれたであろうパイプ椅子が一つ。


元々来る予定だった先生は、雨音と、副担任の二人。それなのに、席はちょうど31席。


雨音は、自分が休むことを知っていたの?


ちなみに、31枚目のチケットは、副担任が持っていた。



よくわからない気持ちで溢れる中、ライブが始まる。虹が掛かった、前例のないような仮面。ライブであっても顔は隠し通す。それがLRだ。


私はこの、どうしようもない気持ちを振り払う為に懸命にオーブを振った。


オーブ。それは、ペンライトの代わりみたいなものだ。

触れば、周りの光を屈折させ、虹を生む。



LRは、曲と曲の間に雑談を始める。毎回そうらしい。

「見離さないで欲しいんだが、私は嘘つきなんだ。でも、悪い嘘ではない。自分を守るためだけでなく、他人をも守り抜く、嘘だ。」

LRは続ける。

「いいか、もし、お前らが有名人になるとき、平穏な毎日が送りたいなら自分を晒すな。本性を隠せ。この世では、有名人が憎まれることは多々ある。自分の顔、住所、年齢、性別。少しのピースでも拾い集め、繋ぎ合わせ、目の前に現れてくる奴は必ずいる。自分を明かすな。そうでないと…最悪、死ぬぞ。」

重い。雑談ではない。まるで授業だ。いや、学校の授業時間で来ているのだ、当然と言われればその通りだろう。


「だが、この中には私の正体に気づいている奴もいる。お前ら全員、私の正体を他言しないと誓えるのなら、顔を見せよう。」


前例のない。この仮面の男?女?がその顔を剥ぎ取るなんて。


見てみたい…。


それは皆同じ気持ちのようで、LRに伝わっていった。


「よろしい。」


LRは静かに盾を落とした。


カタン、という予感が的中する音が鳴る。


それは、静寂への扉を開け放った音だった。


LRは、"雨音だった"

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とある学校に追加された大量の七不思議 隔離された人感センサー @dorl

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