怪2.一つ足りないチケット

芽依は、混乱して意識を失ってしまった。そして、気づいた時には保健室のベッドに横たわっていた。午前11時のことだった。


「家には連絡入れたからね。」


目をそっと開けた時、蛍光灯の光を眩しくない程度まで遮ってくれたのは親友であり担任の雨音だった。


「聞いてたでしょ。内密にね。そうしたら、今度ご褒美あげるから。」


昨日のことは嘘ではなかったんだとホッとする芽依を見て安心したのか、雨音は音楽室へと帰っていった。自分も起きなくちゃと思い、ベッドの外に足を出した時、なんで先生は私がLyric Rainbowの声を聞いてしまったとわかるのか、不思議に思った。何かが頭に引っ掛かる。中学校2年生の頃の記憶…だったような…。

帰りのホームルームの時、先生は言った。

「皆、Lyric Rain bowは好きだね。よし、学級レクリエーションの時間にチケットが人数分取れたから、皆で行こう!」


単刀直入に言おう。鼓膜が破れた。暗喩ではなく、本当に鼓膜が破れた。うぉおお……って言うふうに聞こえた。まあ、数分後に治ったからいいんだけど。


下は鼓膜が破れている間の先生の話をクラスメイトから聞いたものだ。


この箱に人数分チケット入れたから、確認したかったらしていいよ。でも、チケットを教室から出した人はここで自習させます。そんじゃーまた明日ーさようならー


だそうだ。

確認しろと言われれば勿論確認する。

1枚、2枚、3枚………あれ?

一枚だけ、足りない。先生含めたら31枚なのに30枚しかない。


まさか、誰か盗んだ…?皆で行けなくなるのに…?

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