十二月 誕生日を迎える

 十二月二十三日、その日は難波なんば零子れいこの二十七回目の誕生日であった。優一は零子の誕生日を祝うために自宅に招いた。


「優君、お邪魔しまーす。ちゅうてももう何回もきてるからなあ。最近、ほとんどこっちにおるわ。もういっそ優君の家に引っ越そうかな……」


「あっいやなんでもないよ。今日はクリスマスイブイブやね」


「せやねん、うちの誕生日やねん。はーもうアラサーやで」


「うわっ急に抱きしめんといてよ。びっくりするやん。でも、うれしいわあ」


「ふぇっそんなん、耳元でかわいいって。ど、どしたん今日は積極的やん。ええよ、こんなちょっと俺様な優君も好きやよ。ぎゅっ(抱きしめあい、服と服がすれあう音)」


「ほ、ほんならリビングいこか」


「わーすごいやん。ケーキにチキンにご馳走いっぱいやん。えっチキン優君がつくったの。そういえばマリアン姉ちゃん、優君から電話あったっていってたわ」


「めっちゃうれしい。ほんでほんで、いいワインも用意してくれたんや。あははっ優君ここでもコーラなんや。もうここまでいったら信念みたいなもんやね」


「ほんなら、食べよか」


「うわーっこのチキン皮がぱりぱりでめっちゃ美味しい。せやな、ろうそく火けさなな」


 部屋の電気を暗くし、優一はケーキのろうそくに火をつける。

「ふっー!!」


「ありがとうな優君、誕生日いわってもらってめっちゃうれしいわ。ほんで、プレゼントあるって。うわっ指輪やん。これうちが前に欲しがってたシルバーのリングやん。ごっついうれしいわ」

 指輪のはまった左手の中指を零子はながめる。

「じつはね、優君が指輪プレゼントしてくれるってわかってたねん。だって、前にすき焼きしたとき指輪のサイズきいてたやん。うちよっぱらってたけどそれはおぼえてるねん。もうその時からうれしゅうて仕方なかったんやけどほんまもん目にしたら、もうシンプルに最高やん♡♡」


「ど、どうしたん? うちの顔じっと見て。うちの顔になんかついてるのん」


「難波零子さん、僕とつきあってください!!」

 意を決して優一はいった。あまりに緊張していたため、かなりの大声になってしまった。


「ほんま、ほんまにうちでええのん(涙が頬を流れる)……」


「今日の誕生日めっちゃうれしい。だってだって優君がほんまもんのうちのダーリンになってくれるんやもん。人生最高の日やわ」


「あっせやったな。せやったわ。返事せなな。もちろん、いいよ。うち今日から正式に優君の彼女になるねんな。ほんまにありがとう、うちも優君めっちゃすきやねん♡♡」


「ほんならうちからも。うち、難波零子は優君のことほんまにめっちゃ好きです。これからもよろしくね、優君。チュッ(キスの音)」



終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

金髪緑眼の彼女は関西弁が強すぎる。 白鷺雨月 @sirasagiugethu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ