十一月 寒い日に鍋を食べる

 ぐっと寒くなった十一月のある日のことである。零子は両手にスーパーの買い物袋を持って優一の家に来た。


「はー寒い、寒い。これ買ってきたねん。ドサッ(荷物を置く音)」


「ほんまにごっつい寒いわ。ほら、優君、手にぎってみ(ぎゅっ)」


「なあ、めっちゃ冷たいやろ。はー優君の手、あったかくて気持ちええわ」


「ほんなら、優君が好きっていってたすき焼きつくろか。キッチン借りるで」


 零子は優一の家のキッチンに向かう。


「ふんつふんっ♪♪」

 ザクザクっと野菜を切る音がキッチンに響く。

「ほんなら、白菜と葱を大皿にのせってっと。お麩に糸こんにゃくも皿にのせてっと。なあ、優君カセットコンロの用意頼むで。ほんで椎茸に十字の切り込みをいれてっと」


「ラストはお肉やね。たしか冷蔵庫に優君が買ってきてくれたのがあるっていうとったな」

 バタンッと零子は冷蔵庫を開ける。

「わーっめっちゃええお肉やん。優君どしたん?」


「うちくるからって奮発してくれたん。めっちゃうれしいわ。ほんなら野菜切ったさかいにテーブルにもっていってや」


「ほんなら鍋パーティーの始まりや(パチパチ拍手の音)」


「さてさてまずは醤油をざっとひいてっと」

 鍋に醤油がひかれ、じゅわっという醤油が焼ける音がする。

「関東やったらわりしたつかうんやろう。関西はなこの砂糖醤油でつくるねんで。ほんなら、ざらめを鍋にいれてっと。ほら、砂糖醤油のええ匂いがしてきたわ。ほんならお肉やいていこか」

 ジュワーと肉が焼ける音がする。

「はーほんま美味しそうや。うちもすき焼きすきやねん。なんかダジャレみたいやな。肉があるていど焼けたら野菜とお麩とこんにゃくをいれてっと。野菜から水でるからそんなに水入れれんでええねんで」


 ぐつぐつと鍋が煮える音がする。


「ほんならいただこうか。うちは黒ビールのむけど優君はやっぱりコーラにする。ほんまに優君コーラ好きやな。じゃあYouTubeチャンネル登録者一万人突破に乾杯!!」


「プファーッ!!ゴクゴクッ!! 一仕事終えたあとのビールは絶品やな。そうそう、近畿コレクションに出ることになったねん。優君と知り合ってから仕事も順調やねん。優君、もしかして福の神ちゃうかな。年明けにえべっさんお参りにいこな」


「(カシャカシャ)ほれ卵といたったで」


「優君、お肉めっちゃ美味しいで。うち、しいたけも好きやねん。キノコってヘルシーやし、体にもええしな。モデルには必要やねん」


「へえっ優君はお麩が好きなんや。せやな、出汁たっぷり吸ったお麩は美味しいよな」


「はふっはふっ…… 熱いわ、でも美味しいわ」

 すき焼きを仲良く食べたあと、二人はリビングで過ごす。

「はーお腹いっぱいやわ。しめのうどんも美味しかったし。やっぱり冬は鍋にかぎるわ。うち、ビールものんださかい、あつなってきたわ」

 バサッと服を脱ぎ、キャミソール姿になる。

「見てみ、冬やのに汗かいてもたわ。おっぱいのところにあせかいてるやろ」


「なあ、なんで目そらすん。いっつもうちのおっぱい見てるくせに。いざ、見せたら目ーそらすんやな。もう、うちらの仲なんやからはずかしがらんでええのに」


「せやせや、こうぴったり体くっつけらなあかんねん。あっー優君あったかいわ。うち酔っぱらってもたわ。優君チューしてチューして♡♡今日は寝かせへんで♡♡」


「今日はいちゃいちゃしながら徹夜でゲームするんやからな♡♡」

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