さようなら

ついでに。

さようなら。鉛筆。ついでに、鉛筆削り。


さようなら。綿あめ。ついでに、夏祭り。


さようなら。CD。ついでにプレイヤー。


さようなら。青春。ついでに想い出。


さようなら。初恋。ついでに初めて。


さようなら。高い家電。ついでに街の小さな電気屋さん。


さようなら。ノラ猫さん。ついでに鈴の音。


さようなら。私の世界。ついでに何も変わらない街。




あぁ……こうして、人は大切なモノを失くして――……、


自ら捨てて――……。


だったらどうして、懐かしがるのだろう?


後悔するのだろう?


悲しむのだろう?



私は、何を犯した?私は、幾つ物語を殺した?私は、いつを忘れた?


私は、どこから夢を忘れた?私は、どうして泣かなくなった?




何故――……、さようなら――……したの?





さようなら。想い馳せる幼き想いよ。ついでに……本気で笑う私――……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

さようなら @m-amiya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ