最終話:永遠の怨念

逃れることができない怪奇現象のせいで、家族は次第に心の均衡を失っていきました。日常生活は崩壊し、恐怖の影に包まれた日々が続きました。家族の健康は次第に悪化し、笑顔も失われ、家庭は絶望的な状態に陥っていきました。


一方で、怪奇現象は家族だけに留まらず、近隣住民にも広がっていきました。家の中で不気味な光や幻影が見えるという報告が寄せられ、近所の人々はこの家には近づかないようになりました。家族は周囲から避けられ、孤立してしまったのです。


ある晩、家族は再び霊能者を呼び寄せました。霊能者は以前と同様に家の中を調査し、家族に起こっている怪奇現象について洞察を得ようとしました。霊能者は家族に向き合い、厳粛な表情で言葉を紡ぎました。


「これは…力のある闇がこの家を支配しているようだ。古い皿の壊れた怨みが、家族に取り憑いているのは間違いないでしょう。しかし、それだけではありません。もう一つの存在が、この家に取り込まれているようです。」


家族は恐怖に震えながらも、霊能者に尋ねました。「もう一つの存在?それが誰なのか、どうすれば解決できるのですか?」


霊能者は重い口調で説明しました。「それは、昔この土地に住んでいた魂の怨念です。何者かによって冤罪をかけられ、冷酷な仕打ちを受けた者の怨みが、この家に封じ込められていたのです。そして、その怨みが古い皿の壊れたことで解き放たれたようです。」


家族は絶望的な気持ちで考えました。自分たちが無意識に古い皿を壊してしまったことで、昔の悲劇の元凶を解放してしまったという事実に、罪悪感と恐怖が増幅されました。しかし、もはや逃げることはできず、向き合わなければならない現実が迫っていました。


霊能者は続けました。「これを解決するためには、怨みの根源を穏やかにしてあげる必要があります。それには、昔の冤罪を晴らし、被害者の魂を安らかにする儀式を行わなければなりません。」


家族は霊能者の助けを借り、昔の出来事を調査し、真実を明らかにするために尽力しました。そして、冤罪が晴れる手掛かりを見つけることに成功したのです。冤罪の真相が明らかになるにつれ、家族は昔の事件に胸を締め付けられるような気持ちになりました。


儀式の日が訪れ、家族は家の中で一堂に会しました。霊能者の指導の下、昔の事件を悔い改める言葉を捧げ、冤罪を晴らす儀式が執り行われました。その間、家中には不気味な気配が漂いましたが、家族は決意を胸に抱き、懸命に儀式を続けました。


儀式の終了後、家族は疲弊しましたが、不思議なことに、家の中にはもはや怪奇現象が見られませんでした。家族の心の中にも平穏が訪れ、悪夢から解放されたかのように感じました。


その後の日々は、怪奇現象との戦いから解放され、家族は再び穏やかな生活を取り戻しました。しかし、彼らの心にはあの恐怖の記憶が永遠に刻まれていました。屋根裏に隠されていた古い皿を壊してしまったことが、彼らの未来に暗い影を落とすこととなったのです。そして、その家は引っ越し先として選んだ理想的な場所ではなく、怨念と闇の棲む場所として、永遠に語り継がれることとなりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

闇に抱かれた家:古い皿の呪い O.K @kenken1111

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ