闇に抱かれた家：古い皿の呪い

第1話：怪奇現象の皿を偶然割る

長い時間をかけて引っ越し先を探し、ようやく理想的な家を見つけたとしましょう。古びたが風情のある家で、新しい生活を始めるのに最適な場所でした。しかし、その家には不気味な雰囲気が漂っていました。最初は気にせずに暮らしていた家族も、ある日を境に奇妙な現象に見舞われるようになりました。それは、屋根裏に隠されていた古い皿を割ったことがきっかけだったのです…

引っ越し当日、家族は荷物を運び込んでいく中、たまたま屋根裏を見つけました。不思議な魅力を感じた家族は、興味本位でその中を覗いてみることにしました。屋根裏は埃まみれで、長らく手入れされていなかった様子でしたが、そこには美しい磁器の皿が並んでいました。

家族は興奮しながら、その美しい皿たちを探索しましたが、ついつい手が滑ってしまい、一つの皿が床に落下してしまいました。皿は粉々になり、家族は深く落胆しましたが、幸い誰も怪我をすることはありませんでした。しかし、その出来事を境に、家に奇妙な現象が起こり始めました。

最初は些細なことから始まりました。不思議な音が夜になると聞こえたり、物が勝手に移動しているように見えたりしました。最初は誰かが悪戯をしているのかと思い、家族はそれを笑い飛ばしていましたが、次第に現象はエスカレートしていきました。

家族が寝静まった後、足音が廊下から聞こえることが頻繁になりました。誰もいないはずの部屋から物音がすることもしばしばありました。家族は誰かが侵入しているのではないかと不安になり、警察に相談しましたが、異常が見つからなかったため、誰かの悪戯だろうと結論づけられました。

しかし、異変は収まることなく、日に日に増していきました。家族の中には奇妙な影を見たり、部屋の中が突然寒くなったりすることもあったと言います。子供たちは夜になると悪夢にうなされ、何かに追われているようだと泣き叫びました。家族はもはや恐怖のあまり眠ることもままならず、日常生活に支障をきたすほどでした。

そして、ついには家族が何かに取り憑かれているのではないかと疑い合うようになりました。屋根裏にあった皿を割ったことが原因ではないかと考える者もいれば、古い家に潜む何かが家族に対して恨みを持っているのではないかと信じる者もいました。

ある日、家族は不安と恐怖に耐えかねて、心霊現象を専門とする霊能者に助けを求めました。霊能者は家を訪れ、特別な儀式を行いながら家の中を調査していきました。そして、その結果を告げるとき、家族の顔は血の気が引いてしまいました。

霊能者によると、屋根裏にあった古い皿を壊したことで、その皿に宿っていた何かが解放され、家族に取り憑いているとのことでした。その何かは、長い間怨みを抱えており、家族に対して復讐を企んでいると言います。

家族は絶望的な気持ちで霊能者の指示に従い、家の浄化を試みましたが、何度浄化をしても現象は収まりませんでした。家族はやがて、その家から逃げるようにして別の場所に引っ越すことを決意しました。しかし、それでも何かが家族を追いかけてくるように感じるのです。

家族は、あの屋根裏にあった古い皿を壊したことを後悔し、もしやあの皿を元の場所に戻せば、何かが収まるのではないかと考えるようになりました。しかし、もはやその家に戻る勇気はありません。結局、家族は永遠に何かの存在に追われる生活を余儀なくされたのです…