第49話 ルシファー様、もう負けてた

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【東上野在住】ルシファー様強すぎ問題スレpart231【政治学Ⅰ受講】


712:名無し

で、結局天使って何なの?


713:名無し

あれだろ野球星人とか将棋星人的なの


714:名無し

いやそれはちがくね

有識者おらん? 教えてくれ


715:名無し

>>714

来ました有識者です

教えてあげましょう


716:名無し

嘘くせぇな即レスかよ


717:名無し

結局さ、天使ってのは人間のプロトタイプな訳ですよ


718:名無し

試作何号機的な?


719:名無し

それそれ

だから性能も盛り盛りだし羽とか生えてるの

流石に12枚はやりすぎだと思って徐々に減らしていったけどねw


720:名無し

俺もイラストレーターだからわかるよ

胸と尻いつも盛りすぎちゃうもん


721:名無し

イラストレーターさん!!!!!???????

アスモデウスさんのえっちな絵下さい!!!!!


722:名無し

ナマモノはダメだって言ってんだろ!


723:名無し

>>719

はぇーまじでそれっぽい事言うじゃん有識者

気に入った次レスからコテハンつけていいぞ


724:名無し

いやいやつけないよw

そもそも君らが言い出したんでしょw


725:名無し

何をだよ


726:名無し

僕の名前は『みだりに唱えてはならない』ってさ




727:名無し

マジかよ

神は『インターネットで見た』じゃん


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 アサクサダンジョンを攻略して次の日。居間では目を細めながらタブレットを眺めるアスモデウスの姿があった。


「何見てんの?」

「いえ、朝から愚民共は愚かだなと」

「ふーん」


 ま、大した話でもなさそうだな。


「爺さん達は?」

「さぁ、暫くは飲み歩いてるのではないですかね。大河とのわだかまりも解けた事ですし」

「ついでにアル中もいるしなぁ」


 用意してくれていたトーストを頬張り、飲み込む。時間は……やべっ結構ギリギリだな。


「ルシファー様、一つお尋ね致しますが……神についてどう思われますか?」


 神妙な顔をしたアスモデウスが、藪から棒にそんな話を聞いてきた。


「どうって」


 なんでまた朝からそんな話をと思うものの、真剣な表情はちゃんと答えてくれと主張していたので。


「……人間ってのがさ、神様に似せて作られたなら」


 神々だとか天使だとか、ここ最近を通して随分と知る機会が出来た。出来ただけに、思う。


「案外馬鹿なのかなって」


 結局完璧な存在なんてのは、この世には無いんじゃないかって。


「馬鹿、ですか」

「だってそうだろ、初代のルシファーに喧嘩売られるんだから馬鹿だろちゃんと部下の教育しとけよって。それにほら、世界中の神話だってそんなにばっかりだろ?」

「それも……そうですね」


 妙に納得したようなアスモデウスが小さく頷く。良かった納得してくれたようで。


「ではそのようにお伝えします」

「ってそろそろ出ないと」


 少しぬるくなったコーヒーを喉奥に押し込み、急いで立ち上がる。四限の政治学は休講だから今日は少し早く帰れそうだな。


「帰ったら次の作戦会議をしますので、どこが良いか考えておいて下さい」

「え? あー……じゃあ北海道! 連休近いし!」


 とりあえず思いついた地名を口にして、急いで家を後にする。貧乏は脱出したものの、俺の忙しさが解消される日は随分と先になりそうだ。






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793:アスモデウス

そこの有識者

ルシファー様から伝言です


794:名無し

え、推しから直メッセとか嬉しすぎてまたイタズラしちゃうよ?




795:アスモデウス

『ばーーーーーーーーーーーーーーーーか』




796:名無し

これこれぇ^^


797:名無し

アスモデウスさん!!!!!!!!!!

パンツの色教えて下さい!!!!!!!!!!!!!!


798:アスモデウス

今日は水色です



799:名無し

ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!





800:名無し

なんだよ

やっぱり天使はいるじゃねぇか……


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 講義と講義の合間に、いつかヒカリと座った学内のカフェスペースで缶コーヒーを一口飲む。出来ればしばらく彼女とは会いたくないな、なんて思っていると。


「こんにちは、ツバサくん」


 満面の笑みを浮かべたヒカリに声を掛けられてしまった。


「こ、こんにちは」

「政治学のレポート、来週で良いって知ってた?」


 ごく普通の世間話をしながら、彼女は俺の真向かいに腰を下ろす。


「……初耳です」


 いやーソウナンデスネシラナカッタナー。


「そっかそっかぁ」


 なんて顔に書いてみても、彼女は嬉しそうに頬杖をついて。


「私さ、続けようと思うんだ。ヒーロー」

「そうなの?」


 今度こそ初耳の情報を俺に教えてくれた。


「うん、倒さなくちゃいけない奴がいるから」

「へ、へぇー……」


 一体誰のことなんでしょうねぇ。


「あの、さぁ……ツバサくん」

「何?」


 彼女は少し背伸びをして、今度は両手で頬杖をついて。


「私さ、君のこと好きなんだけど」


 コーヒーを飲んでいたら確実に吹き出す発言をあっけらかんと言ってのけた。


「と、友達的な」

「ううん、異性として」


 後戻りしようとする俺をバッサリと彼女は切り捨ててきた。いやその、嬉しいけどさ普通にさ。


「だってそうじゃない? 男子からはゴリラ女とか呼ばれて来た、異性とろくな交流なんて無かった私がさ、偶然ぶつかった君に優しく助けてもらった訳ですよ。愛読書が少女漫画の私としては、そりゃあコロッといくのが当然じゃん」

「そ、そうかなぁ」

「そうだよ」


 彼女はわざとらしくうんうんと頷く。そこで気づく、耳まで真っ赤になっていると。そりゃ恥ずかしいですよね、お互いにね。


「けど」


 だけど次の瞬間には、その顔からは血の気がスーッと引いて。


「私付き合うならさ、嘘つかない人がいいんだよねぇ」


 心臓がバクバクと跳ねる。どうしようさっきの愛の告白よりドキドキしてるんですけど。


「ふ、ふーん……当然の条件だよね」


 平静を装いながらコーヒーを一口飲む。だめだ、味がわからない。


「そりゃあお金とか家庭の事情とか、あんな事をする理由なんて山程あるんだろうけどさ……力ずくでも正体暴いて、辞めさせてみせるから」


 あ、だめだこれ完全に気付いてますねそりゃそうかもう消去法で俺しかいないよないませんよねどうしよう明日からの大学生活辞めるか中退でもするか。


「覚悟しておいてよね」


 彼女は俺の鼻先を人差し指でツンと押して、からかうような笑顔を浮かべる。


「悪の首領さん?」


 けれど彼女は、まだ大きな勘違いをしている。


 俺達の間に戦いがあるとしたら、その勝敗はもう決しているのだから。




 悪の首領って奴は、結局。




「……何のことやら」




 笑顔のヒーローには敵わないのだから。







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 本作をお読み頂きありがとうございます、これにて『アサクサダンジョン攻略編』完結です!


 また作品全体につきましても一旦完結とさせて頂きます!


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悪の首領のダンジョン配信~クソ探索者もクソダンジョンもぶっ壊してたら人類の英雄になっていました~ ああああ/茂樹 修 @_aaaa

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