雑音に埋もれた優しい声は、いくら耳すましても聞こえやしないさ

あたりまえを疑い、偏見を自覚し、世間の言葉から遠ざかることで、これまでになかった新しい価値や考え方を表現できることを教えてくれるだけでなく、自分と他人が同じとする考えが社会を変える知恵になることを描いてみせている。

構成は良いし、医療ヘルスケア同好会に入った理由であり、そもそも通信制高校に入る原因「発達障害グレーゾーンについて」と、三田重音に訪れるさまざまな問題が最後うまく結びつき、雑音に困らない世界で話せる友達ができてよかったなと思えた。

「世界史の授業で、どうしたら世界平和が叶うかという議題についてのディスカションの最中だ」なかなかおもしろい議題を扱っている。
同時に、本作で描きたいことがここにあると考える。

学校に通いづらくなっていく様子が丁寧に描かれている。
理解されないのは、実に苦しいし切ない。
唯一の救いは、母親が理解者だという点。

わからないことは聞いていい。
話の腰をボキボキ折ればいい。
そういう子だからこそ、わからないことは自分で調べ、通信制高校を見つけ、医療ヘルスケア同好会に所属し、自身の体験を混ぜた発達障害グレーゾーンについての記事を書く際に『聴覚情報処理障害(APD)』をみつけ、しかも同じような体験をしているYunoに巡り会えたのだ。

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