夏の花火に想いを馳せて、読んで見て欲しい作品。

娯楽が禁止された近未来。
抑制された人生に疑問を持つ主人公ジェットと、裏方でサポートするリリイ。考えも性格も、見ている世界も違う2人。しかし彼らがパルクールと花火を通じて青春を謳歌する様は、読んでいて清々しさを覚えました。

交錯する内面の想い、行動に至るまでの心理、また、パルクールや花火の描写までもが懇切丁寧に描かれていますが、しかし読みにくさは覚えず、没入して読みふけってしまいました。

夏の終わりに打ち上げられた花火は、一気に、そして一瞬に咲き誇り、まるで本作で描かれた青春のようですが、その輝きは読み手に強く焼き付くことでしょう。
過ぎた夏を想い耽りながら読むのもまた、一興な作品と思いました。
素敵な作品をありがとうございました。

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