2話 「成功体験の魅せ方」から考察する伸びるなろう系

前回のエピソードの要約


 読者の願望を作中で主人公に実現させると伸びるんじゃね?


 当初は前回のエピソードで完結させる予定でしたが、読者様から「つめ込んだ読者の願望をいかに面白く書くかが重要なのではないか」という、その通りすぎるご指摘をいただいたため、急遽2話を書いております。


 羽川は読者の願望をいかにして叶えたら伸びるのかについて、実はご指摘を受ける前から考えがありました。


 ありましたが、1話を書いた時点ではすっかり失念しておりました。


 それに、「そこまでわかってるくせになんで羽川は書籍化してないの?」と言われたら反論できませんから、正直この2話の説得力は薄いように思います。


 ですので、今回のエピソードは1話と同じで、こうしたら伸びるんじゃね? という個人的な考察でしかないので、鵜呑みにしてはいけません。


 それでは参りましょう。



 思うに、読者の願望を前フリと現実感リアリティを万全にした状態で叶えてあげたら伸びるんじゃないでしょうか。


 前フリと現実感リアリティと言われてもピンと来ない方もいると思うので小説の用語に置き換えて話すと、必要なのはだと思うのです。


 例えば怪人のような現実にいない相手と戦う主人公が覚醒して超能力や怪力に目覚めるなら違和感はないと思うのです。


 しかし、これが現実とまったく同じ世界で主人公だけなぜか超能力や怪力を突然手にして普通の人間と戦い出したら不自然じゃないですか?


 悪役一人だけが超常的な力を持っていて、主人公の普通の人間がそれに挑むという構図なら受け入れられると思うのですが、それでも多少違和感が残るでしょう。


 高度な科学技術によってその悪役だけが能力を手にした、という設定だと「なんで他の人にはその科学技術が使われてないの?」という疑問が生まれるわけです。


 神や悪魔のような超常的な存在に力を与えられたという設定だったとしても、やはり「なんで他の人には何も与えられてないの?」となるわけですよ。


 こうした疑問は作品への没入感を損ない、一気読みや感情移入を妨げる原因になります。


 では、なぜこのような疑問が生まれてしまうのか?

 羽川はこう思います。


 伏線がなく、かつ整合性に欠けているから。


 物語の設定そのもののせいだとは思いません。

 「魅せ方」の問題だと思うのです。


 例えば、特殊能力に目覚める過程を描いてからその悪役が暴れる場面を冒頭に持ってくると、悪役一人だけが超常的な能力を持っているという同じ設定でも、違和感も疑問も生まれないのではないでしょうか。


 これは冒頭の時点で伏線と整合性の問題をいっぺんに解決しているからだと、羽川は思うのです。


 この超能力に目覚めた悪役がこれから本編で暴れるよ、という前フリ(伏線とは少し違うかも?)をしておくことで、悪役が超能力を持っていて当たり前と言う空気を作る。


 そして、この世界は現実とは違い、この悪役のように超能力に目覚めることがあるよ、という説明を冒頭からすることで、初めからこういう世界観なのだ、こういう話なのだと読者に伝わり、作中での現実感リアリティ(話の整合性)を維持することができる。


 よって、没入感が高まり、一気読みや感情移入をしやすい作品にできるのではないでしょうか。


 そして、1話でお話ししたように伸びるなろう系は主人公に感情移入、というよりは主人公になりきったつもりで読み進めてもらい、主人公の成功体験を自分のことのように喜んでもらうことで楽しめるように作られていると思うのです。


 ですから、この没入間や感情移入できるかどうかは伸ばす上で大変重要でしょう。


 一気読みしてもらうことも、他のより面白い作品へ途中で浮気されたり、時間経過で熱が冷めて離脱されてしまうことを防げるので、定着率の向上につながります。

 ですので、こちらもやはり伸ばす上で重要と言えるでしょう。


 いかがだったでしょうか?


 まだ足りない! というご指摘があれば新たな考察を行なって続きを書くつもりですが、書籍化していない私一人で思いつくのはここまでです。


 ちなみに、投稿時間や一話ごとの文字数も伸びるなろう系に影響することは存じ上げておりますが、それは作品そのものの面白さや小説の内容とは一切関係ないと感じているので、今作では今のところ取り扱う予定はありません。


 要望、ご指摘、感想など、お待ちしております。



以上

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「読まれるなろう系」の羽川考察 羽川明 @zensyu

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