「読まれるなろう系」の羽川考察

羽川明

1話 「なろう系あるある」から考察する、伸びるなろう系

 「なろう系あるある」と題しましたが、要するにテンプレートや王道と呼ばれる展開、要素のことです。


 これらをありふれている、量産型などと頭ごなしに否定するのではなく、個人的感情抜きに列挙して分析することが「伸びるなろう系」の考察につながるのではないかと羽川は思うのです。


 ということで、早速思いつく限り並べていきましょう。



なろう系あるある


・序盤、主人公は周囲から無能扱いされていて、自分でも何の才能もないと思っている。


・実はとんでもない才能を持っていたもしくは覚醒や転生で突然チートを手にする。


・本当は実力があるのに、認めてもらえず追放。


・ニートや不登校などの社会的底辺が転生などをきっかけに成り上がる。


・序盤で助けたヒロインが極端に社会的地位が高いかものすごい知名度があり、主人公も有名になる。


・ヒロインたちは全員主人公を好きになる。


・主人公がプロローグや第一話以降一度も負けない。


・主人公が序盤最弱から覚醒などをして一気に最強へ。


・主人公は地道な努力をしないか、少しの努力で大きな成果を手にする。


などなど



 察しの良い方ならすでに羽川が言いたいことにお気づきかもしれません。

 思うに、これ全部「」か「」なのではないでしょうか。


 つまりこういうことです。



読者の現状


・序盤、主人公は周囲から無能扱いされていて、自分でも何の才能もないと思っている。

→周囲から無能扱いされていて、自分自身も自分は何の才能もないと思っている。


・ニートや不登校、 ブラック企業の社畜などの社会的底辺が転生などをきっかけに成り上がる。

→ニートや不登校、社畜もしくはそれに近い状態で、自分のことを社会的地位が低いと思っている。



読者の願望


・実はとんでもない才能を持っていたもしくは覚醒や転生で突然チートを手にする。

→無能だと思っている自分には実は隠れた才能があり、きっかけさえあれば有能になれる、と願っている。


・本当は実力があるのに、認めてもらえず追放。

→周囲が認めてくれない、正しく評価してくれないだけで、本当の自分はすごい、と願っている。


・序盤で助けたヒロインが極端に社会的地位が高いかものすごい知名度があり、主人公も有名になる。

→可愛い女の子を助けたい、また、助けたことで有名になりたい。


・ヒロインたちは全員主人公を好きになる。

→複数の美女からモテたい。


・主人公がプロローグや第一話以降一度も負けない。

→勝負で負けたくない、負け組でありたくない。


・主人公が序盤最弱から覚醒などをして一気に最強へ。

→自分だって覚醒などすれば最強、つまり社会的地位を一気に向上させることができる、と願っている。


・主人公は地道な努力をしないか、少しの努力で大きな成果を手にする。

→なるべく努力や苦労をせず成功したい。



 こうして並べてみると、現状より願望の方が割合が多いですね。


 え? ちくちく言葉をやめて欲しい?

 安心してください。羽川自身なろう系が好きですし、結構刺さってます。

 自傷じしょうダメージで瀕死ひんし状態です。


 羽川は一応社会人ですが、ですからね?

 手取り(税金などで減額された実際の収入)なんてグロすぎて放送できませんよ。


 よって、羽川は人のことを見下したり馬鹿にできる立場にないわけです。


 つまり今並べたのは単なる客観的考察であって、なろう読者への罵倒ばとうではありません。

 OK?


 話を戻しましょう。

 

 売れているなろう作家さんたちは対象とする読者をさっき上げたような人たちにしぼっていて、その人たちが抱える願望を作中で主人公に実現させることで成功体験を提供しているのではないでしょうか?


 自分のことのように感情移入している主人公が成功したら読者も自分のことのように気分が良くなるでしょうから、そりゃあ読んでて楽しいに決まってますよ。

 書籍化してもお金を払って読みたくなるくらい、読んでいて心地がいいのでしょう。


 今回のエピソードの結論としては、売れてるなろう系小説は相手を楽しませるエンターテイメントに特化していると言えるのではないでしょうか。



追記


ご指摘をいただいたのですが、確かに単に読者の願望を叶える展開や要素を入れるだけでは伸びないでしょう。


ということで明日、どのような書き方で願望を叶えれば伸びるのかに関する考察を第二話として投稿することにします。


よろしく。

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