地球を支配してみませんか? フランチャイズであなたの夢がかないます!
秋穂藍
地球を支配してみませんか? フランチャイズであなたの夢がかないます!
「おめでとうございます。あなたは19番目のフランチャイズ候補に選ばれました。どうぞ、我々と一緒に地球を支配しましょう!」
「そんな……。無理ですよ。僕みたいな小人が地球を支配するなんて。今、地球はあの巨大な怪物達が
「もちろん、簡単なことではありません。だからこそ、我々フランチャイズ本部が、あなたに知識やノウハウを提供して、地球の支配を可能たらしめるのです。あなたには、いえ、あなた方には、無限の可能性があります。皆さんで協力してあの怪物達を打ち倒すのです」
「やっぱり無理ですよ。あんな大きな怪物達を僕達がやっつけるなんて……」
「もっと自信を持って下さい。怪物達も全員が強力ではありません。まずは弱っている怪物から少しづつ倒して、数を減らしていきましょう。そうしながら、あなた方も力を蓄えていくのです」
「確かに、子供の怪物や年老いた怪物なら、僕達でも太刀打ちできるかも……。でもそんな弱い怪物達でさえ、僕達を一瞬で殺す毒をばら撒いてくるんですよ。元気な怪物達が、弱い怪物を守っていたりしますし」
「怪物達のやり口は我々も把握しています。奴らの毒は強力なのも分かります。ただ、奴らにも弱点はあります。あなた方は怪物達に比べて非常に小さいので、怪物達に気付かれずに近づくことができます。毒だって完全ではありません。効果時間は限られていますし、全方位を毒で守ることもできません。人海戦術で、毒を恐れずに怪物に攻めかかりましょう!」
「そうかも。一人一人の死を恐れずに、仲間の屍を越えていけば怪物に近づけるかも。でも、近づいても怪物には備えもあるからなあ。怪物から僕達は見えなくても、奴らは僕達を殺すための小さな子分をたくさん飼ってますよ」
「怪物達も賢いですからね。なかなか簡単にはいきません。しかし、何度も言いますが、あなた方には無限の可能性があります。たとえ奴らの子分に何人かやられたとしても、生き残る仲間がきっといます。その仲間達は怪物の子分から身を守る術を身に着けているはずです。彼らが立ち上がり、子分を無力化していくのです。あなた方が倒れたとしても、きっとあなた方の子孫が何度も怪物に挑み、最後には怪物達を打ち破ることができます。断言します!」
「……わかりました! あなた方、フランチャイズ本部の力を借りて、地球の支配にチャレンジします! 怪物達をやっつけて地球を支配してみせます!」
「よく決断していただけました。きっとあなたの思いは実現します。我々本部も協力を惜しみません」
「ありがとうございます! ただ、僕達はフランチャイズ本部にお支払いできるものを何にも持ってません。無償で協力してくれるんですか? そんなうまい話があるんですか?」
「そんなことは全く気にしないでください。あなた方が地球を支配する過程で、怪物達をたくさん殺してくれたら十分です。我々は知的生命体の魂が大好物なんですよ。ぜひ、大々的な殺戮を期待していますよ。そうですね。まずは、怪物達の数が多くて、密集している『中国』という国から侵攻を開始してはどうでしょうか?」
(終)
(あとがき)
・人間とコロナウイルスの関係を表現しています。
・前半は、人間が怪物を倒して地球を支配する話のようにも見えるようにミスリードすることを意図しています。
・実は、コロナウイルスが人間(怪物)から地球の支配権を奪い取る話だったことがラストで明かされます。
・19番目の小人は、covid-19(コビットナインティーン)をイメージしています。ただ、この「19」は19番目ではなく、2019年に発生した、という意味のようです。
地球を支配してみませんか? フランチャイズであなたの夢がかないます! 秋穂藍 @aio_ai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます