乙女ゲームでラヴクラフト

南瓜の王冠

一色

乙女ゲーム『カラヴァリエ×ストーリーズ』の原作時間…の700年前位に転生してた。

本当に”してた”何か気付いたらそこにいた。

何なら人間じゃなくて精霊だった。

『カラヴァリエ×ストーリーズ』に於いて精霊は世界観の中核を為す存在だ。

細かい事は置いといて、この世界で精霊と契約したものは色彩騎士カラヴァリエと呼ばれ憧れられる存在だ。

契約した存在は精霊の力を借りられる様になる。勿論精霊にも利点があり、契約した精霊は名前と物語を得る。

この世界に於いて精霊は色で分けられ嘗て謳われた物語を描けるのだ。

因みに精霊には複数の色を持つ多重奏とかがいる。何なら主人公の契約精霊は大体多重奏らしい。

…ぶっちゃけた事を言ってもいいなら、私…正直このゲームの事ほとんど知らないのよね。ピクティブ大千科で幾つか記事を読んだのを何とか思い出しただけなんだわ。

んで、今ね三作目『カラヴァリエ×ストーリーズ3 〜悪魔王と悲劇の王女〜』の時間軸ちょっと前…何だけど…はい…やらかしました…すいません。


…まず『カラヴァリエ×ストーリーズ3 〜悪魔王と悲劇の王女〜』のラスボスの話をしようと思うのだが、ラスボスが産まれた原因…事の発端は強大な黒の精霊『悪魔王』の力を手に入れる為にとある組織が最も黒の精霊に適正があった幼い第二王女シルヴァーナ・レイル・グローリアを攫った事だ。

悪魔王と契約し組織によって闇堕ちさせられた幼女がラスボスとして立ちはだかるのだ。シナリオライターは鬼か?

因みに黒色は所謂敵キャラ属性だ、一応味方にも使えるキャラがいるのがテンプレになっているらしい。

多重奏になれず全ての属性が混ざりすぎた結果産まれた存在が黒の精霊だ。


さて、今頭を悩ませている問題なのだが私「アレ、今の時間軸誘拐イベント等辺じゃね?」となって何となく見に行く事にしたのだ。

そして…第二王女が悪魔王ではなく近くにいた私と契約してしまったのだ。まじで。

これが半分。残り半分?私の名前と物語だよ…

私の世界の物語の可能性はあると思っていたけど…よりによってアレとは…ヌコヌコ動画でリプレイ見ていたからか?

まあ、いいか。



〈シルヴァーナside〉

シル…シルヴァーナは気がついたら知らない男に王城から誘拐されていた。

誘拐されて暫くどこかの地下牢の中に入れられ最低限の御飯だけを出される日々を繰り返したが、ついにあの男に書庫に連れ出された。

あの男の話が正しいならシルを悪魔王と契約されるらしい。

もしシルが悪魔王と契約して仕舞えばどれだけの被害が出るのか判らない。

誰も助けが来ない状況に絶望してた時何故かすぐそこにいた別の黒の精霊と契約したのだ。例外を除いて同時に一人の精霊としか契約できないから。


「お願い!答えてっ…あなたの名前は!」


あの男が慌てている。動揺が解けたらもう如何しようもない。

早く早く契約しなきゃ、間に合わない。


「私の…名前は……」


お願いします。


「名前は…《ラヴクラフト》」


あ、


精霊契約クローズ!」


精霊契約クローズ


契約が結ばれた。


「助けて!」


「うぃ…じゃあ謳って」


ラヴクラフト…ラヴがそう言うと同時に何故か魔法の謳が脳裏に浮かぶ。


「クソがっ!ガキが面倒をかけやがって。契約が台無しだ。もうお前はいらん…死ね。【召喚キャスト巨悪ギガデー……」


怖い…怖いけど。ラヴと一緒ならきっと大丈夫。


「【召喚キャスト:シャン】っ!」


唱えると同時に鳥みたいな大きさの虫が羽音を鳴らしながら顕れ、目にも止まらぬ早さで男の肉体を通り抜けて頭にはいった。


「があぁっ!やめろっ…やめてくれ…たすk……あ…」


男の目から光が消え急に黙り込んだ…なんで?


「シャンは確か昼は基本動かないんだけどねぇ…まあ、基本だしな。」


「シャン?あの虫さんが止めてくれたの?」


「洗脳した、シャンって寄生虫だから。」


「それなら…シルは…助かったの。」


「うん、まあ、そうだね。」


洗脳って何だろう。

取り敢えずシルは助かったらしい。


何故だろうこれからの話をしなければいけないのに涙が止まらなかった。

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