第29話 クリスマスパーティー

その後、もう寝んとお肌が荒れる〜と桃に部屋から追い出された。自分の部屋でベッドに寝転がって天井を見上げる。

退屈だったのは女の子じゃなくて俺やったんやな。

何事にも深入りしない方が良いと思っていた。

見えているものしか見ないで、上っ面だけで全部がわかったような気になって。

つまらんな〜と言っていた桃が、ちょっとは詰まってきたと言った。あまりよくわからなかったが…

これからは退屈じゃない男に成れるだろうか。想定外の事を言ったりやったする、ギャップ萌えが激しい、苦しくて幸せなその人しか見えない恋をして 女が安心して自分の気持ちを見せられる、そんな男、いっぱい詰まったそんな男に。

いや「成れるだろうか」ではなく「成りたい」と思えば頑張れるのかも知れない。何事も得意になりたいからと挑戦する内村さんの様に。

取り敢えずの目標は、やると決めた事は何でも実現してしまう内村さんに、江崎と恋人同士にされないよう誤解を解くこと。そして今度は本当の友達として、これからも江崎のそばに居ること。恥ずかしくて誰にも言えない密かな野望は、俺の生命が尽きたその時その瞬間に、内村さんがちょん切って肌身離さず持ち歩きたいと願うような、そんなヨロズみたいな男に成ることだ。



まだ江崎がこの部屋に戻ってくる気配はなかった。それで良い。

やっと二人で、いや三人で一緒に逢えたのだ。あゆむさんと江崎とまあくん三人のクリスマスパーティーはようやく始まったばかりだ。

明日いやもう今日か、夜が明けたら内村さんの家に行こう。俺もクリスマスパーティーがしたかった。内村さんと二人だけの。


何だか無性に内村さんに逢いたくてたまらなかった。

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不可思議な彼女 大和成生 @yamatonaruo

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