微笑む彼女。

 これは、そう遠くない過去の記憶。


 いつかの彼女との、他愛もない思い出の一つ。


『――ねぇ、知ってる? 桜の花言葉には色んな言葉があるの』


『――へぇ、例えばどんなの?』


 そのとき彼女は桜の木の下でそっと微笑んで、こう言ったんだ。



『――あなたに微笑む――』



 桜舞い散るこの場所で、俺は想いを馳せる。

 願わくば、またいつか、彼女の笑顔が見れますように。

 そうして、散った花びらは願いをのせて、風に乗り、空高く舞っていく――。



                                (おわり)

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ホホエムカノジョ。 晴時々やませ @yamaseharetokidoki

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