季節の終わり。

 それから一週間、俺たちはとにかく楽しんだ。

 できるだけ一緒にいられる時間を増やして、できる限りのやりたいことをしてきた。

 徐々に、以前のように弱っていく彼女の姿をそばで見守りながら、俺は常に彼女に寄り添った。


 その段階で俺はすでに察していた。彼女がもうあまり長くはないということに。

 それでも彼女はいつだって笑顔で、楽しそうにしていた。

 だったら最後まで俺もそうする。そうするしかできないから。


 悔いを残さないために。彼女がいつまでも笑顔でいれるように――。



「――ごめんね……、もっと一緒にいたかったけど、そろそろ限界かも……」


「なに言ってんだよ。春が終わったら次は夏だ。夏といったら海に行ったり祭りに行ったり、やりたいことがまだまだたくさんあるんだ」


「そうだね……。でも、ちょっと疲れちゃったかも、あはは……」


「そうか、だったらちょっと長めに休んで、また体調が良くなったら二人で行こうな」


「うん、そうだね……。じゃあ……それまで、少し寝るね……。ちゃんと起こしてよね……」


「……わかってるよ。じゃあ、ゆっくり休めよ。――おやすみ」


「うん……、おやすみ。またね――」



 ――そして、季節の終わった最後の一輪とともに、彼女は優しく微笑みながら、長い眠りへとついていった。

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