【短編】初恋ランサムウェア〜恋の病に侵された雨傘紫音の受難〜

早朝の図書室は閑散として読書が捗る。

だから俺——重音紫芳（かさねしほう）はいそいそと毎朝、図書室へと通っていた。そんなある日のことだった。

いつもと変わらない1日が始まると思っていたのだが、一通のメールが届いた。

そのメールの差出人は、なんとクラスメイトであり、この学園で最も有名な雨傘紫音（あまがさしおん）からだった。

俺は少しだけ、いや、ほんの少しだけ気になる異性からの唐突なメッセージに舞い上がってそのメールを開いてしまった。

すると———そのメールはどうやらスパムメールだったらしいのだ。

気がついた時にはすでに遅かった。

【注意】という文字とともにスマホの中身が全て暗号化されしまった旨が表示されてしまい……

？？？「ふふ、やっと彼にアプローチする時が来ましたっ！！」

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