第12話 夏の花火の中の異世界へ飛べ
僕らはマーシャの力で空間移動で空を飛んだ。景色が歪んで見えたが
快適だ。水色の線が浮かぶ。そしてほどなくして僕らは永代橋へ着いた。
いきなりたかちゃんがケラケラ笑いだした。「シガが、急にセミに変身するから途中でおかしくって笑うの我慢していたの。ごめん、シガ。」シガが、「あー、バレたかあー。マンガみたいだけど人型の時は、イケメンの姿に。しかし、空間移動の時には、最小のエネルギー消費のために”セミ”になるんだ。効率的だからね。」たかちゃんが「そうなんだ。でもシガ、お願い、今はイケメンの姿が見たい。変身して。」シガは、イケメンに変身。そして、たかちゃんではなく、チラリとリナを見た。鋭い僕は見逃さなかった。それに坂田君もなぜかほっとした顔をしている。マーシャが両手をたたいて、「ほら、みんな着いたよ。お遊びはここまで。ここからは慎重にね。みんなここについて何か違和感はないか?」中島が「特に感じないけど。ちょっと空が曇っているかな?ぐらい」ミクが「この曇りがステイの風鈴で作った結界内。マーシャ、私達は、もうステイの手の中にいるってことよね。」「そうだ、その通りだ。」
マーシャがシガに「不測の事態には夏の異世界、防衛隊員としてみんなを頼むよ。」「はい。任務遂行します。」シガの顔がまたキリッと大人の顔をした。僕らは、あたりを警戒しながら見回した。特段変わりないように見えた。橋の上の往来のも車の人も自転車も普通だ。僕は「マーシャ、橋の上はみんな普通に見えるけど。」マーシャが「ヒカル、異能を使ってみろ。異世界ヒカルの目で見ればすぐわかる。それにヒカル、戦闘態勢でいるように。ステイは近くにいる。」たかちゃんは、僕とマーシャの会話に”えっ”と気づいた気がしたが。今は気にしている暇はない。異世界人の僕の目が景色をとらえた。「マーシャ、確かに景色は普通だが橋の上が、グニュッと曲がっている。そうか。空間が重なっているが、別次元の空間か。」「そうだ、その通りだ。ヒカル、空間の歪みの説明をしてあげたいが、そうも言ってられない。来るぞ。」「ピカッ」と激しい光が放たれた。ステイが攻撃を始めた。初めて見るステイ。悔しいが、かなりイケメンの大人だ。宙に浮いている。「マーシャ、久しぶりだな。死ななかったみたいだな。」「当たり前だ。ステイ、お前ごときに負けはしない。」「相変わらず口が悪いな。おーっと、それに今日は、お子様方がたくさんだ。今日は遠足でもあるのか?ハハハー。ステイは憎らしく笑う。そうだ、そこの双子の小娘めお前が盗んだ”風鈴”は、ほらここにあるぞ。」「チリーン」風鈴がなった。風鈴から激しい光が四方に放たれた。ステイの手から離れ、風鈴は宙に浮き、話だした。「愚かな、生き物たちよ。私は”あるべきものの所へ行く。”見定める。」そう、いい話すとまた眩し光を放ち近寄れない。マーシャが「ステイ、そういうこだ。」「それはいい。どちらが勝つかな。」言葉と同時にステイの光の攻撃が容赦なくマーシャにあたる。マーシャは防御しながらも「ミク、リナ、地上の子供たちを守れ。シガ、ヒカル本気だすよ。」「はい。」「はい。」僕らは、高速で空を飛び旋回しながら攻撃を続けた。ステイの攻撃力は、半端ではない。ステイの光がシガをとらえた。左方負傷。地上へ落下。リナが傷の手当てを素早くする。2発目、マーシャの右頬をかすめた。「マーシャ、よくよけたなこれではどうだ。」ど真ん中に強大な光の攻撃が入る。マーシャは素早く河川の上空へ逃げた。攻撃の光は逸れた。気づくとマーシャのギブスは外れていた。「マーシャ、ギブスが。」空を回転しながら「ギブスか、あれは飾りだ。つけていた方がカッコイイだろう。」
「えーマーシャ、それ、中2病だよ。」
ステイが「何をごちゃごちゃ言っている。セイメイ。」セイメイ?その言葉に「ズッキン」僕の体中に電磁波が走る。僕は?マーシャが、「気づいたか、セイメイ。前に会ったときは、お前はその名前だった。」僕の体の中からドクドクと得体の知れないエネルギーがわいてきた。ステイが「セイメイ、また俺の邪魔をするのか」そう言いながら、ステイは攻撃の光をマーシャに放った。”あたった。”マーシャが地上へ落下する。ミクが異能でマーシャを包む。
”マーシャの落下”この光景を僕は記憶の中で見ている。「イーヤーだ―――」
僕の最大最強の攻撃光がステイをとらえる。光を発射。『やめて』小さな声が頭の中に届く。”またか。くそー!”僕はその愛しき人の小さな声に従った。僕の攻撃光はステイの急所を外した。ステイは地上に落下。リナとミクがステイを確保。
そして戦いは終わり。僕は宙に浮いたまま。目も前に「チリーン」風鈴が来た。
「セイメイ。よくやった。お前は優しい奴だな。同じことは2度繰り返す。
前の記憶は蘇ったか。」
「はい。また、愛する人の言葉に従いました。遠くとも愛する人の笑顔を僕は守りたいです。たとえ、隣に僕が、いれなくても。」
風鈴は「セイメイ、またどこかで会いましょう。」そう言い残し、風鈴は次の瞬間シガの手の中にあった。僕は地上に降りた。みんなも何とか無事のようだ。たかちゃんが「やっぱりヒカルは異世界人だったね。なんとなく小さいころから、そう思ってたよ。」中島が「そうだな。今日の戦いを見てじゃなくって前から。」
坂田君も「僕も、黙っていたがそう感じていた。僕ら幼なじみだろう。」
僕は「そうだな。」
シガは夏の異世界の防衛隊員として”風鈴”を奪還、任務完了。「僕は帰還するよ。それに犯人のステイを確保護送しなければいけない。」「シュー、ドーン」花火が上がった。ミクが「そんなに時間たったっけ?」マーシャが、きっとステイの時間操作が切れたんだろうな。」「シュー、ドーン」2度目の花火が上がった。シガが、「本当に時間です。みなさんありがとう。元気で。リナ、僕と夏の異世界へ戻らないか?手を伸ばした。」リナは「ミク、ごめん、私、行くね。」シガの手を握った。「いいよ。シガ、姉さんをお願いね。」「もちろんさ。」シガに拘束されたステイが僕とマーシャの前に来て、「また、前と同じだ。カッコ悪いな。俺は。」ステイの目が少し光った気がしたが、記憶を取り戻した僕はステイに「今度、マーシャを泣かせたら僕が許さない。次は本気でマーシャを奪うぞ。」
すぐさまマーシャが間に入りステイの目の前で「ステイ、私は、ここにいるよ。変わらずにね。」僕は「あーあ、また今回も僕は振られたかー」僕はステイの手を握って「元気で。」「おう。」ステイはシガに連れられ、リナとともに花火の光の中に消えた。マーシャが、さてと、たかちゃん達を見渡して「すまない。」と言って異能で記憶操作を行った。そして空間移動でそれぞれの家に飛ばした。ミクが僕に「ヒカル、またね。私、ヒカルのことが好きだった。今も、もちろん変わらない。ヒカルが、セイメイが愛した人がマーシャだったなんて、少し複雑だけど、私はマーシャと地上に残るよ。」「そう。」僕は、右手を出してミクと握手をした。そして、マーシャの手に触れてた瞬間「ビリっ」僕の体の中だけに一方向だけに電流が流れた。やっぱり僕の片思いか。『そうだな。悪い、セイメイ。私は昔からステイを愛していると言っていたじゃないか。それにセイメイ君は何度も転生を繰り返している。きっといつか、本当の君の愛すべき人が現れるよ。』
『そうだな。』「ありがとうセイメイ。」「じゃ。」二人は飛んだ。
僕は一人河川に残り遠くの花火の音を聞いた。とても心地よかった。
小さな風が吹いた。僕の意識が別の次元へと飛んでいく。
どの世界の、どの時代の異世界人も人間もセミも
最後はhappy endでありますように。
転生を繰り返し続けている僕、セイメイより
夏祭りの花火は異世界への扉 京極 道真 @mmmmm11111
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