第11話 ステイ追跡と風鈴奪還

中島が怒った顔で「ヒカル、先に行くなら行くで、メールぐらい送ってくれよ。僕がメールしても圏外で送れなかったぞ。」そうか、すまない。ちょっと急ぐ用件があって中島、わるい。たかちゃんも坂田君もすまなかった。」たかちゃんが「そうね。朝早くから待ってたんだよ。」「たかちゃん、ごめん。」坂田君は「でも、待ったと言っても45分。悪いが僕は、さすがに男子を1時間は待たないよ。まあ、言いたいことはあるが、まあ、仕方ないな。」「ありがとう。坂田君」坂田君の対応がとても大人に感じた。さてその前に僕は彼らに話すべきことがたくさんあった。風鈴を盗んだのは、藤田さん、そう藤田リナと双子のミクのこと。しかし彼らは、真の犯人ステイのだまされて夏の異世界より持ち逃げたこと。僕らがシガと出会った小3の夏祭り、5年、正確には風鈴が6年前に盗まれたこと。この神社のマーシャが夏の異世界人だということ。そしてその犯人が元恋人だということ。その犯人ステイが地上、夏の異星、両方を支配しようとしていること。すべてみんなに伝えた。もちろん僕が別の異世界人だということは言えてないが。たかちゃんが「ヒカル、だいたいは、わかった。で、結局その風鈴を見つけないと私達も夏の異世界も、消えちゃうってこと?」「まあ、極論だと、そうなる。」中島が「ヒカル、ヒカルの話は、僕も把握した。早く横にいる、藤田さんと藤田さんの双子の子と巫女さんを紹介してよ。」坂田君も「そうだな。」僕が言う前にミクが切り出した「私はリナの双子の妹ミク。生まれてすぐ、さらわれてこの地上に来たの。だから私の思考は、ほぼ、あなた達と一緒よ。だからほら、オーラが地上のあなた達と同じ。でそこの彼女は?ヒカルとどういう関係なの?」突然話がそれた。僕もだけど坂田君が「君、ミクって言ったか失礼な奴だな。」「えっ?失礼ですって。だって好きな人に女子の友達がいるなんて、気になるのは当然でしょう。聞いて何が悪いの?」坂田君もタジタジだ。リナが「ごめんなさい。たかちゃん、坂田君。ミクは言うことがストレートすぎて。」たかちゃんが「大丈夫よ。リナ。ただ驚いたあ。リナは、おっとりタイプだったから、つい。でもほんと顔は同じでも性格は違うのね。」「そうなの。ほんとごめんなさい。ミク、あなたも謝りなさい。」ミクは少しプッと頬を膨らませて、「じゃあ、たかちゃんごめんなさい。でも坂田君には謝りたくない。」リナが「ミク!」強い口調で言った「だって坂田君、たかちゃんのこと好きでしょう。だから、私に失礼な奴だって言ったんでしょう。ずるいよ。坂田君はたかちゃんのこと好き?でしょう!」一瞬、坂田君がクラッとしたように見えた。そして向きを変えて「たかちゃん、僕は、たかちゃんのことが好きだー。」坂田君は叫んでしまった。そして、たかちゃんをまっすぐに見て「返事はいらない。僕が好きってことだけ、伝われば。」いつも元気な、たかちゃんが、少し、もじもじして「あー。」小さく返事した。中島が「なんだよ。朝から恋バナとかやめてくれー。風鈴だろう。今は。」そうだ中島の言う通りだ。マーシャの目が遠くを見つめながら「若いっていいよね。純粋で。正直で。」と小さくつぶやいた。僕はマーシャの頭の中に入り『マーシャ、僕もマーシャが好きです。』マーシャが「えっ。ヒカル大人をからかうな。」ミクが「マーシャ、また、ヒカルと話していたでしょう。怪しい?なに、なに?」マーシャは少し慌てて僕をチラリ見ながら「風鈴のことだ。風鈴だ。」リナが「そうね。早く犯人ステイを捕まえなければね。」シガは境内のセミの鳴声を聞いながらが「そうだな。早く風鈴を奪還しなければ。時間が無くなってきている。」マーシャが「その通りだ。この時越神社は、流動的だが、時間の歪みがある。異世界への入口がある場所は、だいたいそうだ。それにステイが持ち去った風鈴が”あるべき場所にあるべきものが無い”すべての根源の源の定義が崩れている。」僕も「そうだな。”物も人も異世界人もすべて、あるべきところにないと居心地が悪い”」リナが「風鈴を元あった世界へ戻さないといけない。」シガが「みんな、悪いが本当に時間が無くなってきている。急いでくれ。マーシャ、時間の歪みは、かなり進んでいる。たかちゃん達が来てから数時間しか経っていないのに、境内の鳥居の外の時間は3日、いや5日も経っている。」中島が携帯を見る。圏外表示のみ。画面は真っ黒だ。坂田君もあわてて、PCを。表示がグルグル回って立ち上がらない。マーシャが「カウントダウンが始まったかもしれない。ステイ。」僕はマーシャに「マーシャ、ステイの行きそう場所に心辺りはないの?」マーシャはしばらく目を閉じて、小さく「まさか、あの場所。」僕は、聞き洩らさなかった。「マーシャ、そこは、どこだ。頼む、教えてくれ。河川だ。永代橋だ。」僕は「よし、行先は決まった。永代橋へ行く。」

みんなが、ざわめいた。シガの表情がキリッとした。僕は大きな声で「最強巫女のマーシャ、僕ら全員を空間移動で永代橋へ飛ばしてくれ。」マーシャは、両手から凄まじい光を放った。僕らは飛んだ。






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