短い夢を重ねて孤独を捧げるプリザーブドフラワー

くり返される綺麗さと残酷さの歴史みたいな作品。

まるで儀式のように、月人の彼女彼はくり返している。
月は一カ月かけて満ち欠けをくり返す。
月人である彼らもくり返すのだ。

他人を羨ましく思う気持ちに折り合いをつけて人は生きているのに、月人という違う人種が登場して、さらに厄介な世界を描いている。
おそらく自分と他人は違う事実、他人との関わり合い方、人間関係の表現としての月人であり、異質なものや自分と違うもの、異質なものは不安を生み、やがて憎しみとなって対立してしまう現実世界をも描いているのだろう。

片思いを描いているのかもしれない。
恋い焦がれ続けるからこそ、生きる糧にもなる。
実らぬものに執着するあまり、身を滅ぼすこともある。
それが幸せかどうかは人それぞれ。
人生の選択の先に、果たして何を思うだろう。

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