お疲れですか、それなら魔法をかけてあげましょう。
夢色ガラス
第1話
美味しいお茶をどうぞ。
え?この空間は何かって?何をおっしゃっているのです?あなたはあなたを認めてくれる人を探しに来たのでしょう?だから、あなたが幸せになれる素敵な物語をご用意したのですよ。はい?私は誰かって?そうですね、私は…ー。
あなたを助けるために物語を作成している魔法使い、とでも言っておきましょうかね。
それでは今からあなたを楽にして差し上げますよ。疲れた心を置いていってください。眠いですと?ああ、それなら眠るといいですよ。あなたはこの世の中に飽き飽きし、認めてくれない人々への怒りを感じているわけですから。今ならばあなたがやらなくてはいけない使命がございませんから。
眠たいならば、寝てください。お腹がすいたのならば、ご飯を食べてください。今すぐにでもこの小説を抜け出していって構いませんよ。だってあなたには自由を手にする権利があるのですから。
え?なぜ私がこんなに世界を知ったかのような口を聞いているのか、ですって?それは…私自身が、疲れてボロボロになった経験があるからですよ。
ここまで読んでくださった皆さん、これはオープニングです。私はあなたを自由にするために物語を描いている”魔法使い”だということをお忘れなく。
あなたには助けてほしい、と感じたことはございますか?死にたい、と感じたことは?いつからか、いじめられているわけではないのに居場所がなくなっていた、なんてことは?
気付かないうちに傷つけられていて、気付かないうちに助けてって叫んでいる。そんなことはありませんか?
人にバカにされる前に自分を殺して、自分を傷つけることで救おうと足掻いていた時期はありませんでしたか?
認めてほしいだけ。
あなたはきっと心の底でそう思っているはずです。限界を突破する度に言われる言葉。まだ出来るだろっていう言葉。ちがうちがう、私たちが欲しいのはプレッシャーじゃないんです。私たちが欲しいのはー…。
「あなたがいて良かった」
認めてほしい。それは、ただの願望ではないような気がしますけどね。守って欲しいっていう、SOSかもしれない。
お帰りなさいませ。どうでしたか?少しは気が楽になりましたか?あらら、そうですか、私の言葉なんて響かない、と。少しでもあなたの自由と笑顔を守りたかっただけなんですけれどもねぇ。
私はあなたを見ていますよ。そして知っている。
ちゃんとがんばっているってこと、ちゃんと知っていますからね。
お疲れですか、それなら魔法をかけてあげましょう。 夢色ガラス @yume_t
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