第8曲目 レディオス!
「つまり!ミユきゅんはお前のことを昔から認知していたんだろ?名前は間違えて覚えたみたいだけど…それでも認知は認知は認知なんだし、お前が女装する意味ってもう無くね?」
ぐさりッ!…ミユきゅんとのエンカウント事件があった翌日の昼休み晴稀は傷心の僕を慰めるでも無く、僕に同調してくれるでも無く、ド正論を真正面から突き刺してきた。
「そ、そうかもしれないけどォ…で、でも僕が女装を辞めたらミユきゅんの唯一の女性ファンであるアスマが居なくなっちゃうし…それに!あの日ミユきゅん僕のこと
色々言い訳してみるけどドレもコレも僕の臆病さを浮き彫りにしていくばかり
「…ずっと思ってたんだけどさァ、その一見事件の日ってお前の姉チちゃんがコロナ明けたちょっと後だったよなァ」
「そうだったと思うけど…それが?」
「イヤお前確かその時『絶対にミユきゅんにはコロナウィルス移すもんか!』って息巻いてバカでかいマスク付けて無かったっけ?」
ファンとして当然の行為である
「行かないって言う選択肢はないからな。ミユきゅんにさないためにホント顔を覆うくらいのマスクを…」
「絶ってぇマスクのせいだって一見さんと間違えられたの…それに昨日お前ミユきゅんと約束したんだろ?次のライブは絶対に行くって」
「うぅ、そうだよね。ミユきゅんに行くって言っちゃったもんな…困った困った困った!どうしよう…次のライブ行かなきゃ…」
もう僕の脳内は混乱を極めている。どうやって誤魔化そう。次のライブに
どうしよう、どうしようどうしよう…!
「行かなきゃってお前、ANIMAのライブが嫌なコトみたいな言い方じゃん。お前にとってANIMA、ミユきゅんのライブはそんな強制的に行かなくちゃいけない物なのかよ?」
「へっ?」
晴稀の言葉に思わずハッとする。
「その女装はお前がミユきゅんのために、ミユきゅんに喜んでもらう為にやってきたことなんだろ。お前が苦しんでどうするんだよ」
「認知してもらえてた事は嬉しいけど、それでも僕はずっとミユきゅんのことを騙してたんだよ?バレるのが…軽蔑されるのが、怖い…」
「ミユきゅんはきっとそんなことしねぇよ」
「何でわかるんだよ」
ちょっと涙目になりかけていた目を
「俺の友達にもうひとりお前みたいなヤツがいるんだけどな、ミユきゅんはそいつのこと笑ったりしてなかったよ」
「誰だよそれ…まさか実は自分も女装してましたみたいなオチ!?」
「ちげェよ!友達っつってんだろ!」
「くははっ」
あまりに慌てて否定されてちょっと笑ってしまった。
「兎も角、最後にどうするかを決めるのは俺じゃない、ましてやミユきゅんでもない、お前だ。お前がどんな選択をしても俺らは友達だけど、期待はしとくぞ」
「うん」
覚悟はすでに持った。後は当日、気合を入れたメイクとファッション、それとメイク落としを持っていけば完ペキだ…
******************
長い間更新止めて本当にすいませんでした。
本当に何度書き直しても納得いかなくって…
(言い訳)
地下アイドルに認知される為に女装しました 真岸真夢(前髪パッツンさん) @maximumyuraku
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