一月一日日曜日

「先輩、何お願いしたの?」


「いうわけないだろ」


人気の少ない小さな神社で、二人。彼女は寒いのか、頬がいつも以上に真っ赤でその無邪気さがさらに引き立てられていた。

彼女の真っ赤に染まった手には、僕の金で買われた缶のココアが握られており熱を必死に吸い取ろうとしていた。


「言霊だよ?言霊。ほら先輩言ってよ」

「…しいて言うなら、このループが止むようにって」


少しぶっきらぼうに答えると、彼女の顔がにやにやしてくるのが分かった。


「先輩、この間私が相談したこと気に病んでるの?かわいいねぇ」

「うるさいぞ」

「もう三回経験したし大丈夫だよ」

「俺はもう何回も何だけど」

「じじい」

「おい」


寒いからと帰ろうとする彼女の後ろを追いかけ、階段を下ろうとする。その前に一度振り返り、心の中でつぶやく。




『こいつのループが終わりますように』

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高校三年間 猪口怜斗 @choko_reito

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