四月十日月曜日
少し不安に揺れる心を隠しながら家を出る。なぜか手に取ってしまった彼女からのプレゼントを空っぽのカバンに詰めた。
いつもの待ち合わせ場所に彼女はおらず、はやる気持ちで学校へと行く。クラス票を見ると二年の欄に彼女の名前はなかった。
「あの、すみません。クラス票見えなくて…場所変わってもらうこと可能ですか?」
平均より少し小さい彼女に後ろから声をかけられる。
「あ、はい。すみません」
「いやいや、だいじょうぶです!」
「…」
「…?」
少しの間彼女の顔を見つめていると不思議そうに見つめ返される。
「あの、俺のこと、」
「はぁ、」
「いや、すみません」
そういって足早に立ち去る。彼女はもう自分のことは覚えていなかった。
先ほど自分のいた場所から、彼女とその友人と思われる数人との会話が聞こえてくる。
「もう三年生って早いよね、」
彼女からのプレゼントを開けると、その中にはマフラーとともに一枚のカード。
何故か丁寧な言葉遣いで書かれたそれは、酷く残酷だった。
『十七歳、おめでとうございます。次の冬にはこれつけて見せてくださいね!』
僕だけが、また、繰り返す。
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