部活の定義

千蘭

第1話

 「夏の2大コンクールが終わったからって、部活まで終わりじゃないからね! まだまだ

やることは山積みだよ。頑張っていこう!」


 部長の千尋ちひろが言う通り、夏の二大コンクールが終わったからといって、アンコンの練習だけやっていれば良い訳じゃない。


 11月中旬にある学校の音楽会の練習、冬休みに行われるクリスマス行事の練習に、来年の5月末にある文化祭の計画……。そして、1月中旬に行われるアンサンブルコンテスト、略してアンコン。息をつく暇もないまま行事は迫ってくる。


 特にアンコンは色々と難しい。

 人数制限が厳しく、部員全員で出ることはできないため学年ごとで別れて出場する。

 私の学年は六人。三パートに分かれると一パートに二人しかおらず、ピアノ伴奏もないアカペラの曲を歌うため、失敗に誤魔化しが効かない状況だ。


 学校行事も大事だけど、やっぱり難しいアンコンの練習を1番に。


 そういう共通認識が、みんなの中にあったのだと思う。週に3日、朝練を取り入れることに異論は出なかった。




 歌うのは楽しい。部員の仲も、他の部活の子たちから『学校一雰囲気がいい部活』と称されるほど良い。

 喧嘩なんて見たことがないし、練習の合間の休憩時間も笑いが絶えない。部活をサボりたいだなんて、どうやったら思うのか教えて欲しいくらいだ。


 そんな雰囲気が変わってきたのは、アンコンの練習が始まって少しした頃だった。

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部活の定義 千蘭 @sennrann

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