オーバー

林騎兵

オーバー

Summer is Over 全くとどかない密室に大轟音のかすかな残響


審判が誤審するのは仕方ない こぼした水が空気に溶ける


想像より短い一日 踊り場という踊り場に白い白い白い羽


天使の恰好をしてきみはまちがったことを僕に教える


ぎりぎり、ぎりぎり聴こえない声で不協和音を音読してよ。


天井のヘイローを何度欲してもヘイローは両眼に映るだけ


すぴか は 星の名前だったと思う たぶんありえない雨が降っている


超音速 ねじれの位置にあるだろう部屋から部屋へと移っていっても


午後 両端からひっぱると針くらい細くなってちぎれる  午前


なにもかもたぶん天使が墜ちるのも注射のようなスピードでゆく


楕円形の鏡にちょうど僕だけの顔が映る これでいいんだ 


なにもかも関係があることは 電源OFF わかってる 電源ON


鋭い廊下のいちばん奥で待たされて箆鹿はもうほとんどとけた


うすうす、うすうすわかっているんだけど(ドアノブがドアをひらかせること)


遡及してみよういつからここにいたかを フリーズドライのiPhone7


ラミネート加工されてるメモリーをひとつずつひとつずつ剥がした


内側では怒号のような音がして命令がなくても動けそう


本当は風通しのいい部屋にいてここは偽物のカメラ・オブスキュラ


薄い毛布にくるまれているひのたまですね 燃えたりしたりして わたしたち


さようなら 救済としての二人称 きみの下手っぴなルームサービス


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オーバー 林騎兵 @kihei

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