青空のアジア 第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部二十句連作部門参加作品

平 健一郎 (たいらけんいちろう)

青空のアジア

いずこより来て風花となりにけり


ユトリロのラパン・アジルへ雪の道


立冬の影踏みしめてゆく街ぞ


ほがらかに言葉を聞きて落葉踏む


ふたりして月のしずくのなかにあり


熟れ柿に羽ばたき絶えず空ひろげ


君とゆく故郷風鈴鳴り始む


アマリリス石段のぼる京の猫


鎌倉に江ノ電走る夏の庭


赤ん坊やはらかに泣く花の家


春の虹めごこ襖に顔隠し


まばたきてくわえられたる子猫かな


麗らかや木箱の如く書を開く


雨欲す獣もおるか草いきれ


豊穣の雨や歓喜の蝌蚪生まる


雨雪の暮らし手袋なじみけり


犛牛ヤクの背に降りたる蝶よ花嫁よ


大いなる母となりゆく大夕焼


木槿咲く雨をたまわりいきいきと


青空のアジア蜜蜂まとふ風

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