【感動する話】こうして私は“学校1の美少女”だったのに嫌われました...

ミクの物語LAB

こうして私は“学校1の美少女”だったのに嫌われました...

「好きです!付き合ってください」

「ごめんなさい」


私は目も合わせずにその場を去った。これは、私にとっての日常だった。


私は高校に入ると、とにかくモテた。「学校一の美少女」「女神」などと呼ばれるほどだ。

しかし中学の時は、「オタク」「陰キャメガネ」とあだ名がついていた。いつも教室の隅の方で本を読み、根暗だったからだ。身長が高く、胸が大きいことがコンプレックスで、いつも目立たぬよう猫背で過ごしていた。

このままじゃダメだ、と思った私は高校入学とともにイメチェンをした。コンタクトに変え、猫背も直して明るく振る舞った。

おかげで、話しかけられることが多くなり、友達も増えていった。高校デビュー成功だ。クラスの陽キャに仲間入りできた。

しかし、理想の学校生活はすぐに終わった。入学して、1ヵ月が経った頃、クラスのイケメンに告られたのだ。私は趣味が合わなかったので振った。このことが学校中に広まり、私はクラスの女子から嫌われ始めた。


「あいつ調子乗ってね?」

「自分が1番可愛いと思ってるんでしょ?ウザっ」


私はすぐに一人ぼっちになった。昼休みも1人でご飯を食べ、教室の隅の方で読書をする。

中学生の頃の陰キャに逆戻りだ。私は告られるのがトラウマで目立たないように生活した。それでも定期的に何人かに告られた。外見でしか判断していない、下心丸見えの猿どもばかりだ。私は告られるたびに冷たく振った。

告られる人数が増えるたびに、私は男子の高嶺の花になり、逆に女子からは反感をくらった。

そのうち、私は、「性格が悪い女」と噂されるようになった。悲しかった。私は何も悪いことをしていないのに、見た目で中身を判断される…。こんなことならイメチェンなんてしなければよかった。中学の時みたいにおとなしく、端の方で本を読んでいれば、少なくとも1人くらい本当の友達ができたかもしれない。嫌われる事はなかったかもしれない。

それから私はイメージ通りの性格の悪い女を演じることにした。冷徹な女を演じれば、もう人気者になる事は無い。最初から孤独なら裏切られることもないのだから。


2年次になり、クラスメイトが変わった。私は席が近い、小川優子という物静かな女の子に話しかけられた。

「ミステリーが好きなの?」

「え、あ、うん…」

「私も大好きなの!好きな作家とかいる?」

「ごめんなさい。今、読書に集中したいから」


私は冷たくあしらった。どうせ仲良くなっても裏切られるだけだ…。


「わかった!じゃあ読み終わったらその本の感想教えて?」

「え…あーうん。いいけど」


その後も優子はしつこく私に話しかけてきた。私はその度に冷たく接したが、何度も何度も笑顔で話しかけてきた。


「もうしつこい!お願いだから私に関わらないで!」

「あ…ごめんなさい。でも…この本を読んで欲しくて…」

「これは…」


その本は私が前から探していた本だった。なかなか売っていなくて、ずっと図書館をまわって探していたのだ。


「ありがとう…」

「うん!返すのいつでもいいから!じゃあ」

「あの…。これ、代わりに貸してあげる」

「え?いいの?!」

「うん、主人公クール系で多分好きだと思う…」

「あ!覚えていてくれたんだ!」


それから私達は放課後に本の感想を言い合うようになった。帰りに本屋さんに寄って二時間以上話しこんだこともあった。私にとっては初めての友達だった。

しかしすぐに悪い噂がたつ。


「あいつ、ブスを隣に置いて自分が目立つようにしてるんだ」

「うわー酷っ。てか隣のやつ、めっちゃ太ってね?」


私は腹が立った。しかし、何もできない。また目の敵にされるのではと、怯えるだけだった。


そして放課後、教室で優子がクラスの陽キャ達に囲まれている姿を目撃した。優子は本を取り上げられ、いじめられていた。優子は震え、縮こまっている。


「お前、あいつと仲良くしないほうがいいよ?」

「気付いてないの?あいつに利用されてること」


いじめっ子は本で扇ぎながら優子を詰めている。よく見ると、私が貸した本だった。

あぁ、きっと本捨てて裏切るんでしょ?そして明日から一切私と口を聞かなくなる。そうに違いない。まぁ別にいいや。また一人に戻るだけだし…。辛くなんて…。私は涙がこぼれそうになった。すると、


「あの…その本は大切なものなので返してください!」


優子は急に立ち上がり、本を奪い返した。


「この本は大好きな友達とのきっかけをつくってくれた大切なものなんです。だから…」

「は?調子乗んなよ。大体、デブで汚ねぇあんたはあいつに利用されてるだけだから」


いじめっ子が優子を蹴ろうとした瞬間、私は飛び出て叫んだ。


「てめぇらふざけんな!優子はあんたらより何十倍もキレイだよ。優子はな、字がほんとに綺麗なんだよ。ご飯の食べ方も、言葉使いも、心も…。優子は私の自慢の友達だよ!」

「は、はぁ?知らねぇし。もう帰ろ」


いじめっ子はに本を返し去っていった。

私達は抱き合った。

あぁ、これでいいんだ。嫌な女なんて演じなくていいんだ。本当の友達の前では本当の自分をさらけ出していいんだ。自分自身には嘘をついても、大切な友達の前では正直になろう。


その後、いじめっ子達は私たちに近づくことはありませんでした。

そして、優子ちゃんとは今も大親友です。   


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