第9話【パートナー】

「やぁ、テルくんがどんな種類の武器なのかわかったよ」

バンがテルの事で調べてくれた。

どんな武器でどんな特性なのか知っておかないと後で問題があったら困るから。

「一番近いのはこれだと思う」

そういってバンは古い書物を机に置いた。

「おいおい、こりゃ虹の属性じゃないか」

虹の属性?...。

「オレ達は魔法の属性で何種類ある?」

ぼくは答えた。

「熱を操る炎と生命の誕生の水、応用すれば氷で空気に働きかける風、応用すれば雷

大自然の力の土、応用すれば草、そしてお互いライバル関係の光と闇」

魔法の勉強してる人なら誰でも知ってる。

「本来は魔法は知識と経験があれば使える魔法もあるけどその属性特有の魔法は

その人、本人の属性の魔法しか使うことができない」

マークはテルの事を見た。

「だが、こいつは魔力さえあればどんな属性の魔法も使う事ができる。

全ての属性を使うことができる、それが虹の属性だ」

「すごいよ、テル!」

ぼくはテルの手を握った。

「ぼくとテルが一緒なら最強だよ!!」

ぼくはテルを抱きしめた。

「お前、ホントにテルには甘いよな」

「いいでしょ、ぼくの未来の旦那さまだもん」

テルは顔が真っ赤になった。

「今日は何食べたい?」

ガチャッ

「あのー、ちょっといいですか?」

いきなりドアが開いたと思ったら女の人...

猫族かな?なんだろ?。

「ええと...シキって名前の王女さまは?」

「彼女がそうだ」

そしたら、女の人はすぐにぼくの近くにやってきた。

「ああ、貴女がそうですね!」

いきなりぼく手を握ってきた。

「えっ?なに急に?」

「ゴメンなさい...急だけど少し時間をくれるかしら?」

何?えっ...。

「いや、テルのごはん作らないといけないから...」

「大丈夫!実は名のあるシェフたちが来てますからあの子の食べたいものはその人たちに言えばなんでも作ってくれますから!」

そう言われて、ぼくは無理やり連れていかれた。

「えっ?ちょっと...ヤダー!テルぅううううう!」

ブゥウウウン

テルは急いで指輪に変化した。


「何でこんなに大人たちが沢山居るの?」

なんかすごいオーラを纏った...いかにも頭良さそうな人たちがいっぱい。

「待ってください、一週間後の話では?

それにまだ、ちゃんとした手続きを...」

「手続きは元老院さま達から既に伺ってますので

後で話を聞いてください、早い方がいいって

言ってくれたので」

「ねぇ、説明してよ」

バンは少し困った様子でぼくに説明した。

「簡単に説明すると...東西南北の優勝ある

それぞれの教師たちだよ...」

「どうも、さっきあったわよね!私は

カムラよ西の魔術学園から来ましたよろしく」

さっきの猫族の女の人だ。

「どうも、ボクはスグルだ東の国の学問分野の教師だ」

熊族かな?教師って言うよりなんか戦士みたい。

「北国からきた、シーラよこれでも水分から飲水や体をケアする錬金術を研究してるの

色々と論文もまとめてるから良ければ読んでみてね」

白い狐族の女の人だ少し話しやすそう。

「僕はカース騎士や兵士を育てる教官を担当している南の訓練学校では一人前になるために日々努力する若者たちに戦い方を教えている」

犬族のお兄さん...この人が一番若そう...。

「なんで、そんな人たちが?」

「私たちは貴女の実力を見に来たの」

実力を見に来た?。

「四つの大陸の混血...その受け継がれた力を見たいんだ...」

そうは言うけど...。

「言っとくけど、ぼくは派手な魔法とかは使えないよ」

あれはテルが居たからできた事でぼく単体じゃ意味がない。

「僕たちもテルって少年の事は聞いてるよ、まずは君個人の力を見たいんだ」

「いや、ご飯作らないと」

ぼくは即答した。

「それなら、シェフの方が...」

「いや、そんなのいいから」

ぼくはそのままキッチンに行った。

『シキ、凄い人たちが集まってるんだよ色んなことを教わろうよ』

『別にいいよ、ぼくはレベルアップとか興味ないよ暮らすのに困らない知識はもう身についてる』

ジュウウウウウ

フライパンに火を通していい匂いがする。

『それに、テルが指輪に変化するおかげでこうやって一緒に居られるしぼくはこれで満足なの』

これがぼくの幸せ...誰にも否定はさせない...。

『嬉しいよ...けど...』

少し声に元気がない...。

『吸収できる、知識は学ぼうよ...ボクは...

どうしても苦手...だけどキミはボクと違う...』

ブゥウウウン

テルは変化を解いた。

そして、ぼくの手を握ってしっかり目を見た。

「わかったよ...」

「あぁりぃがァと...」

テルの頼みならしょうがない...。

「もうすぐできるから...」

すると、テルがエプロンをつけていた。

「つづぅうき...すぅるぅ...べぇええんきょう...」

「えっ?続きしてくれるの?ダメだよ危ないよ!」

ガサッ

すると、後ろの服のえりを掴まれた。

「この子の言う通りですよボクたちも早く君の

実力を見てみたい」

さっきのスグルって人が居た...しかも他の三人も

居た。

「ちょっと!盗み聞きしてたの?!」

「まぁまぁ、私達がテルくんのこと見てるから」

「おう!オレらに任せとけ」

どこからか、バンとマークがやってきた。

「ということで、行きましょう」

「やだー!テルぅうううううう!」

テルはニッコリ笑って手を振っていた。


「それじゃ、先に魔法のことを...」

「いや、だから魔法は使えないんだってば

それなら、テル連れてきてよ」

ぼくは不機嫌な言い草だった。

「大丈夫よこの魔宝石を使えば」

宝石箱かな?小さめの箱をぼくの目の前に出してきた。

ガチャッ

開くと中には色んな種類の宝石が色鮮やかに輝いてた。

「どれでも、いいから何か手に持って魔力を流してみて」

適当に手前にあった赤い宝石を手に持った。

「何回かやったことあるけど...」

これ苦手なんだよなぁ...。

ボォオオオオオオオオン

魔力を流した瞬間、部屋一面に炎が出てきてしまった。

「うゎあああ!」

ぼくは驚いて宝石を離してしまった。

シュウウウウウウウ

すると、炎もなんとか、収まった。

「ゴメンなさい...攻撃魔法は力加減が下手なんだ...」

マークの時も風力が強すぎて危なかったもんな。

「いや、おかしいわ」

急にカムラさんは考え込んでしかも何か独り言を

言ってる。

「あなたは何歳だっけ?」

「もうすぐで五歳...」

ボン

カムラさんは手に小さな火を着火させた。

「いい、魔法は体力と同じよ初めは量が少なくても運動していけば体力も増える、それと同じで

魔法も使っていけば...」

ボォオオオオオオオオン

凄い、大きな炎が手のひらか燃え上がった。

「威力だって上がるし魔力も大幅に上がる」

シュウウウウウウウン

炎が一瞬で消えた...あれだけの大きな炎が...

ぼくの場合は宝石に手を離したから消えたけど...

この人手馴れてる...。

「威力が大きくなる分、使う体力も大きく削れる

だけど、貴女は平気そうね」

そう言われてみれば...。

「別になんともないよ?」

「魔法はまったく使えないの?」

魔法...。

「まぁ、知ってると思うけど治療魔法とか

他のサポート系の魔法はよく使ってるから

慣れてるけど...」

「なるほどね...少し分かった気がするわ...」

何が分かったんだろ?。

「つまり、確かに元から貴女には底なしの魔力が

身についてるのよ」

「いや、そんな!話を大きくしないでよ!」

それじゃ、まるで化け物じゃん!。

「だって!そうじゃなきゃ逆に説明が納得出来ない!それに回復系の魔法を使ってるならそれで

余計に魔力の量が増えたのかも、さっきも言ったけどそれで熟練してだんだん...」

なんか、話がややこしくなってきた...。

「もう、いいよ!ぼくは行く!」

そう言ってぼくはその場から離れた。


「覚えが早いね」

「まぁ、勉強は嫌いじゃないし」

ぼくはスグルさんに色々と勉強に役に立つ書物を

読ませて貰った。

「すごいね、話には聞いてたけど医学に通用する

勉学はすべて暗記するなんて」

「テルは体が弱いから...いちいち病院に行くより

自分が医者になれば手っ取り早いでしょ?」

それに、隣でテルのことをずっと守れる。

「情熱的だね」

「そうだよ、ぼくの愛しい人」

ずっと支えるだ...ぼくが守るんだ...。

「そうだ、コレはどうだ?うちの生徒たちの新しい

教科書なんだ...」

「医学に通用する勉強はしたくない」

「まぁ、そう言わずに...習ってそんは無いと思うよ」

そう言われて、渋々教科書を受け取った。


「ねぇ、これで正解なの?」

「すごい...医学に精通してるとはいえ...

すべて暗記してしかも答えに導くとは...」

暗記するのは得意だからこれぐらいはなんとかできる。

「それなら、これならどうだ!」

「だから、医学に精通する勉強以外はやらないって言ってるでしょ!」

ぼくは不機嫌になった。

「それに、ちゃっかり帝王学まで教えようとしてるでしょ!」

そんな作戦には乗らないよ。


「そじゃあ、錬金術の基本は聞くまでもないでしょ?」

「うん、錬金術は何度もやってるから」

錬金術は慣れてるから今更だしね。

「ぼくの得意分野は薬学だよ東洋医学の

薬草も少し学んでる」

「流石ね、どんな薬を作ってるか見せて貰っても

いいかしら?」

ぼくはカバンの中の薬を全部出した。

「テルの部屋にほとんど置いてきたから

そんなにないけど」

何種類か薬を出した。

「ほとんど、東洋医学の漢方ね」

「まぁね、体に負担が少ないから」

その時にシーラさんはある薬に目が止まった。

「これはどんな効果の薬かしら?」

「それは、抗生物質だよ」

シーラさんは少しの間だけ固まっていた。

「抗生物質は都会の病院でしか出されないのに!」

「自分で作ったの薬学の本は図書館で借りたから

それで色々学んだの」

テルと出会う前から勉強ばっかりだったけど...

それが役に立つことが出来て良かった...。

「薬学でこれだけの物を作れるのはすごいわ!

ぜひ私の学校に入学して!」

「何でそうなるの!そんな暇はないよ!」


「それじゃあ、シキ王女」

「やめて、呼び捨てでいいから」

自分は王女になるつもりは無い。

「分かった、とにかく何か自分で身を守る術を持ってるかい?」

カースさんは子供専用の剣をぼくに渡してきた。

「剣は扱えるかな?」

「まぁ、刃物は...」

ぼくは訓練用のカカシに剣を構えた。

ジャシュッ

バサァァ

一振でカカシの布を切った。

ザッザッザッザ

そして、何度も連続で刺した。

「いや、待って!やりすぎだよ!」

「でも、こうでもしないと倒せないから」

カースさんはポカンってなっていた。

「力任せだけど...結構戦える...何処で覚えたんだい?」

「戦い方は少し知り合いに教わったの...それに

ぼくは錬金術は基本薬品を作るのに利用してるけど日用品で紙とか洗剤とか冬にそなえて毛皮とか

森で弱い魔物を狩りで捕まえたりしてるから

自然と力も強くなるよ」

なんか...カースさんが少し考え出した...。

「まだまだ...不慣れだけど...戦闘の厳しさは身についてる...育てればもっと...」

ぼくは気づかれないようにその場を去った。


その日の夜...。


「テルぅうううううう!」

バサァッ

ぼくはテルにダイブした。

「もうやだ、あの人たち!」

「どぉしたぁの?...」

テルは心配そうにしていた。

「なんかさぁ...ぼくの事を無理やり王族にしようとして...」

なんで...こんな血統に産まれたんだろ...。

「テルは...ぼくに王様になってほしいの?」

テルは画用紙を持ってクレヨンで字を書いた。

【それを決めるのはシキだよ、だけど絶対に

いい王様になる】

テルはぼくがいい王様になるって信じてくれてる。

「けど、ぼくは...そんなのやだよ...」

そうだ、ずっと思ってたことがあった。

「テルは将来の夢は何?絵描きさん?」

テルは画用紙にまた字を書いた。

【シキの将来の夢を教えてくれたら教える】

ぼくは少し俯いた。

「笑わない?」

テルは首を縦に降った。

「テルのお嫁さん...」

お互い顔が赤くなった。

テルはそのまま字を書いた。

【もう、なってるよ】

だから、好きなんだよなぁ...。

「テルは?」

しばらく考えた後...書き始めた...。

【将来の夢って程じゃないけど、色んな世界を

見てみたいな、体が弱くて無理だけど】

そうか、テルは結構、冒険物語を読んでるもんね。

「それなら、行こうよ」

テルは少し驚いていた。

「大丈夫だよ、指輪になれば、ぼくが連れてってあげる」

テルは急いで文字を書いた。

【そんな、悪いよ!】

「はぁー...あのね、ぼくはテルと一緒なら何処に

住んでもいいの!旅暮らしいいじゃん!」

ぼく達は確かに子供...。

【それなら、明日行っちゃう?】

だけど...。

「ふふんっぼくと考え方が同じになってきたね!」

テルとの愛は本物。

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四季混血 はりがね @ATLASLION

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