第13話 23主催ツーリングその7
その日は宿に泊まった
素泊まり3000円ほどの、シンプルイズベストを具現化したような宿
まぁいわゆる一般的なツーリングではないから、ご当地のご馳走や今で言う【映える】景色なども必要なく、風呂と布団があれば良い我々にとってはベストチョイスと言える宿なのである
晩飯は近所のコンビニの弁当&カップ麺、そして酒
この時代にインスタグラムがなくて良かった…
大人の修学旅行になりつつあった夜の宴の席で23に聞かれる
23「お前九州までついてくる?」
私「え?マジで九州まで行くツーリングやったんですか?」
23「行く言うたら行くやろ…ハッタリかます理由もないし…」
私「いやー、まさか本気で九州まで走るとは思ってなかったです…九州まではちょっとキツイかなぁ…(笑)」
23「おう無理すんな!俺ら愛媛からフェリーで大分に入るから、ギリギリのところでお疲れしようや!松山道で高松、そっから徳島に向かって淡路経由で帰ってもいいし、高松手前の坂出から瀬戸大橋で岡山、そっから山陽道で帰ってもええぞ。まぁ事故にはきーつけよー。GWは周り見てへんやつがわんさかおるし…」
私「分かりました!さっき23に言われたこと、今でもよー分かってへんのですけど、考えながら帰ることにします!」
23「帰ってから考えーや!事故るぞ(笑)」
私「あ、そうか(笑)そうします!あ、あと一つ聞きたいことあったんですよ!なんで自分をツーリングに誘ってくれたんですか?他にもいろいろおったでしょうに…」
23「あーそれなー。お前がなんとなくこっち側の人間やと思ったからやー。でないとこんなアホみたいなツーリング誘えへんわ!ハッハッハッ!」
私「アホみたいなツーリングて自分でゆーてますやん……今更ですけど、先にゆーといてほしかったわ……ツーリングで危うく寿命縮めてしまうとこやった…(笑)」
23「でもおもろいやろ?」
私「まぁ、確かに…」
23「アホなことして、おもろい!って言えるやつとツーリングはしたいわなぁ。そうじゃないと一緒に走ってもおもろないねん。お前、次も参加せーよ!」
私「次はもうちょっとやれるバイク乗りとして参加させてもらいます!」
峠の走り屋としてバイクと関わりを持ち、そこにしか存在価値を見出さなかった私にとって今回のツーリングは衝撃的だった
バイク便ライダーという公道を走ることを生業とすること…
毎日当たり前に「生きて」帰るには、今の自分の考え方・走り方ではダメだ
23達と愛媛で別れ一人大阪に向いて走りながら、アカンと言われてたのに考えながら走っていた
あるバイク便ライダーのお話 @bemmow3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あるバイク便ライダーのお話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます