mint green

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「ただいま」

　彼女は、リビングにいた。

「見つからないね。やっぱ人気商品は」

　かなり奥地のコンビニまで行ってきた、という設定で。長時間ドアの前で粘っていたのをごまかす。

　彼女。何かをもさもさと食べている。

「ミントグリーン？」

「うん」

　ミントグリーン。綺麗に棚に並べられてるやつ。彼女。彼女が彼女を食ってる。意味分からないけど、なんか、そんな感じ。

「ミントグリーンはもう終わりました。次の時代はチョコミントですよ」

　終わってしまった歴史に抗うかのように、コンビニの袋からチョコミントを取り出す。これが自分。自分は、これ。これからは、これ。

　彼女。なぜか腹立たしそうに、そっぽを向いた。ちょっとかなしい。もしかして、チョコミントはハミガキコ論者なのかもしれない。どうしよう。わかりあえない。