第4話 運命

定刻通り僕たちは中立国を出発した。


アメリア姉様も一緒に乗ってソル皇国に向かってだ。


「いいのか?」


「いいとは?」


「いや。この技術を他国に放出しても。」


「いいですわ。なぜなら。」


「そこは言わなくてもいい。傭兵の国に売るんだ。あの国に。」


「やはり、あなたは優秀ですね。」


少しの静寂を挟み口を開けた。


「せめて物慈悲です。あなたの想像通り、あなたたちの国はすでに崩壊する未来しか見えません。」


やはりというべきか。僕は、俯いた。


「しかし、あの国の魔法師としての能力は十分に高い。特にあなた方の部隊は。なので今のうちに恩を売っておくのも一つと考えたのです。それと近々、中立国も崩壊するでしょう。あの国はとにかく帝国から再三属国を呼び掛けられています。そこで私たちに話を持ちかけてきたということです。」


僕は、呆気に取られてしまった。


「そこでです。ソル皇国は、あなた方傭兵の国と中立国を吸収合併することにしました。」


また、すごいことを。


「国民は賛成なのか?」


「そこは問題ありません。なぜなら、私だからです。」


アケノは強引なところがあるが、これはやりすぎている部分があるように感じる。


「いや、これからのことは僕は力になれそうにないな。姉様たちと話し合ったほうが得策かな。」


「そうでもありませんよ。」


僕は、その言葉を理解できなかった。


ソル皇国との国境に近づく頃になった時だ。


「まずい!」


僕は、強力な魔導反応が近づいてくるのが分かった。

しかし、指示が遅れてしまった。


列車の近くで爆発が起きた。


外れたのでそこまで大きな損害はなかった。


「「アルト!」」


アメリア姉様とアケノだ。


「やはり。この魔導反応は帝国のものだ。」


ここはソル皇国と中立国そして帝国との国境だ。帝国の遠距離砲撃ギリギリの位置にある。


「速度を上げることは?」


「無理だわ。この先大きなカーブがあるわ。」


ならこれしかないか。


僕は、列車の窓をあけ屋根に登った。


「つまり撃ち落とせばいい!」


僕は、単純な魔力の塊を砲弾に向けて放ち逸らした。


「もう少しで砲撃可能範囲から逸れるわ!」


一つ一つが大きいため魔力の消費量が大きすぎる。そして簡易的な魔導器具しかつけてないため、効率が悪い。


すでに、幾つ逸らしたか分からないくらいになった頃雨が止んだ。


「アルト!もう少しで抜けるわ!」


僕は、この時気を緩めてしまったがために反応に遅れた。


「防御魔法を使え!!!」


アメリア姉様も理解したようでアケノとムツキと一緒に守るように展開した。


その物体が近づいて来るのがわかる。強大な魔力の塊。


魔導熱反応爆弾だ。普通は殲滅作戦に使われるのだが、なぜこんなところで。


僕は、アメリア達を守るように防御魔法の上位である結界魔法を貼った。しかし、これでも持つかどうかだ。


とうとう列車の上空で加速された魔力が高エネルギーとして放出された。


「くぅ。耐えてくれ!」


僕は、結界の維持とともにもう一つ構築した。


「アルト!」


体が溶ける感じがする。全身から血液が噴き出す感覚。


僕は、振り向き構築した魔法を発動した。


僕は、光と共に意識を手放した。


ーーーーーー


それから3年後。


帝国は、滅亡した。不思議でしょう。それも傭兵の国にだ。それと同じく傭兵の国も無くなった。ソル皇国の属国となった。


それによりアケノの計画である魔導列車の各都市への連結は実現し経済は加速した。


ここは、とある自然公園。中立国とソル皇国が管理する公園だ。


そこには、ハゲた土地がある。


「お母様?」


「どうしたの?」


「涙を流しているから。」


「いえ。なんでもないわ。行きましょ。」


2人は近くの駅へと向かって歩き出した。


その駅の名前はこの土地の名前からwonder”と呼ばれこの土地は『奇跡の土地』と呼ばれている。












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傭兵は失敗を繰り返し奇跡を起こした やーしん @ToukaRay

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