死に至る恋の歌
空月
死に至る恋
「好きだよ」と言われるたびに首を振る どんなに胸が締めつけられても
諦めて 私は応えられないの ありがとうなんて微笑まないで
隣の席 なんてことない仕草たち 横目で見てる 気付かないでね
穏やかなその声を聞くのが好きだった ただそれだけでよかったのに
恋に狂い 愛に執した災厄の 撒いた呪いがみんなを縛る
ただひとり以外はすべてとばっちり 私もあなたも不運だったね
昨日まで大地を踏みしめていた足 呪いのせいで痛むのでしょう
声はまだ失ってない でもわかる あなたの呪いは『人魚姫』だと
まっすぐに愛を伝える人魚姫 呪いは解けるわ 想い通えば
告げる先 私じゃなければきっとすぐ あなたの呪いは解けていたのに
応えたら命を奪う唯一の呪いを持つのが私の血筋
妄執の果ての呪いが続いてる 愛した人を死なせる呪い
解呪はない いつかこの血が絶えるまで 災厄の愛が死に絶えるまで
でもきっと私が最後のひとりなの だからあなたは早く誰かと
幸せに笑っているのを遠くから 眺めるだけで満足だから
私じゃない誰かを好きになればいい 早く、はやく、お願いだから
ああ好きだ、と自覚するたびに滲み出る 甘くて苦いこの気持ちが
「好きだよ」と言われるたびに降り積もる 嬉しくて苦しい気持ちが
「わたしもだよ」と応えさせるその前に あなたを殺すその前に
死に至るしかない恋を殺せない 私の弱さを殺してほしい
死に至る恋の歌 空月 @soratuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます