第19話 チェス

サイコさんの愛馬は、行儀がいいしお利口で覚えがよかった。


すぐにジャンプを覚えた。


馬に教えてもらいながら、サイコさんは熱心に練習をしている。


今日は、わたし一人で馬場で遊んでいる。向こうの馬場では地元聖女が、練習しているが相変わらずだ。外で乗るときは引き馬で乗ればいいのさ。


ただ、お馬さんがなんとなくそわそわしてる、明日の事をもう知ってるのかな?



新馬が到着するのだ。好きなのを一頭くれるって言うから楽しみなのよね。いつものおじいちゃん、おばあちゃんは申し分ない。確かに戦場を駈けるのは無理かもだけど、普通の遠乗りはどの子も大丈夫だ。でも自分の馬が欲しいの。


なんとなくお馬さんのそわそわが移ったので、今日は早めに終わった。早めに終わった分お手入れは念入りにってことで、風魔法で乾かして念入りにブラシをかけた。



それから、他のお馬さんにもブラシをかけていたら、地元聖女の相手をしていた馬が洗い場に戻って来た。


ちなみに馬場で聖女さんが馬から降りると迎えに行っていた馬丁さんが連れて戻ってくる。


わたしはすぐに言って腹を見た。可哀想に拍車の後に血が滲んでいる。だいたいあの地元聖女の使う拍車は生意気にも長い、それ突き立てるからこんな状態になるんだ。


わたしはそっと傷を癒した。洗ったりもしたかったけど時間も時間だから、ここでさよならだ。


明日は早く来るからと行って厩舎をあとにした。




朝食が済むとすぐに厩舎に向かった。楽しみで小走りになってしまう。馬の名前はもう三つまでに絞り込んでいる。


顔を見て似合うのにすればいい。


っと驚いた。人が多い。やはり騎士団員も馬をみたいのだろうか。気持ちはわかる。楽しみだよね。


軽く運動というので、裸馬に乗ることにした。並歩でゆっくり馬場をまわる。まだ地元は来てないのであちらの馬場に出張して見た。


速歩にしてみたが、以外にいい線行ってる。これ、キュロットのすべり止めを工夫したらこのままでも行ける?



思い切って駈歩にしたら、こちらの方が安定しているが、速歩に落とした途端落ちそうになった。


ちなみに騎乗者を落としてしまったと言うか騎乗者が落ちてしまった馬は傷つくのだ。馬は悪くないのに・・・


よっぽど性格の悪い馬が、意地悪で落とすことがあるかも知れないが、馬場に出てくる馬はその限りじゃないから・・・・その前にはじかれる。


少なくとも前の世界はね・・・この世界はわからない。そんな馬の方が戦場で強いかもだし、魔獣にもひるまないかも知れない。


わたしは落ちそうになったが、落ちなかった。首にしがみついたし、馬も止まってくれた。



見ると馬丁どもが笑っていた。




下馬して手入れしていたら、やって来ましたお馬さん。三十頭程がやって来ました。


馬場に入れられたお馬さんは用意されていた桶から水を飲んで、積まれた干し草を食べて、それからゴロンとしている。




その馬から目が離せなかった。最初に目が行ったが他の馬の様子も気になったし・・・・・でもその馬だ。


ごくありふれた栗毛の馬がわたしの チェスナットになった。

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聖女は怒りは収まらない 朝山みどり @sanguria1957

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