第18話 聖樹

国王、魔術師団団長、騎士団長、宰相はため息をついていた。聖樹が五本とも弱って来ていると言う知らせだ。


聖樹について正確な情報はない。記録はされているが、せいぜい二百五十年。それ以前は伝承ということになる。


神殿に記録があると言われているが、神殿は秘匿している。


ただ、伝承に寄ると異世界から忽然と現れた聖女が聖樹を癒し、国の危機を救ったと言われている。


召喚したのではなく、いきなり現れた聖女だと言うのだ。


国も神殿の次の危機に備えて、召喚の研究をした。研究の結果を見た宰相と国王は戦慄した。


召喚の際、魔力を提供した者は生き残れない。魔術師団団長は何度も検証した。せめて犠牲を少なく出来ないかと・・・


そして魔術師団団長は自らを贄にすると決心して、せめて巻き添えが少なくなるように日を選んでいた。


そこにあの騒動だ。女官長が聖女をいちはやく連れ出したのは、無残な現場に長居させない為だと思ったが、現場は平和だった。


あの聖女の魔力が召喚を助けたとしか思えなかった。


「あのマリコさんはある程度覚悟しているというか、飲み込んでますよ。聖樹の世話をしてくれると思います。出来るだけ望みをかなえてあげればいいんですよ。神殿の聖女に専用の馬場と休憩室を与えたのはいい事ですよ。マリコさん喜んでると思います。そろそろ新馬が届きますね。好きなのをあげればいいと思いますよ。旅も嫌いじゃないし、この世界の事も勉強してるし、なんせ聖女様ですから。身分は上ですし・・・・頼みましょう。聖樹を回って欲しいと・・・・細かい問題はこれから考えればいいんですよ」


「確かに護衛の報告はたいしたもんだが、貴族は腹黒だし」


「陛下はっきり言いますね。彼女の事です。大丈夫です」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る