第17話 ハザード

翌日から、侍女二人はとても丁寧になった。そして他の所の侍女がうちの控え室にやって来てわたしが出入りする時に念入りにカッテシーをするようになった。面倒な・・・・


そしてもっと面倒な事はあの地元聖女が、厩舎に行く途中で絡んでくるようになった事だ。


「あら、あなた、どこに行くの?どうせする事がないのでしょ。わたくし、今日は王子殿下とも神殿とも約束がないからつきあってあげられるわよ。田舎から出てきて礼儀も知らないようだから教えて差し上げるわ」


「忙しいのでお先に」と行こうとしたら侍女が回り込んで来て


「聖女様がお話してなさってますよ。礼儀知らずが」


「もっと頭を下げて礼を取れ」と怒鳴る男にむけて風魔法の渦巻きをお見舞いする。地元聖女の足元にも思い切りスカートがめくれる程・・・・


漫画のように膨らんだスカートに乗って飛んで行って欲しいけど・・・・やればできそう!!!



「なにをする」って誰に向かって言ってるの?風に向かって言ってるのかな??


声が聞こえないように風を唸らせた。音だけで脅せるって気づいた。


ごーーーと言う風の音を怖がってみんな地面にうずくまっているが、わたしはもうそこから離れた所をご機嫌で歩いている。


厩舎に行って驚いた。もう一つ馬場が出来ていたのだ。馬場のそばには瀟洒な建物がある。


馬丁さんに聞くと地元聖女専用の施設で、宰相さんの指示で大急ぎで建てられたそうだ。


「そりゃ、聖女様は大切だし・・・・なんでも心優しい聖女様は馬場を使わせて欲しいと言えずに我慢なさっているそうで・・・」


「我慢!」思わず言っちゃったよ


「我慢したんだって。でも聖女様を神殿でみたけど有難いよ。こーー光がぱーーーと出てね。一人は白で一人はピンク」


「確かにあれは拝みたくなる。聖女様は神殿で見るのが一番だね」


「馬場が別れたのは嬉しいけど、どうもなんかありそうでいやだな。お手当をたくさん貰っているから、いざとなったら働くけど・・・・重労働はいやだな・・・・」


この時から、情報を集める為にわたしは侍女さんの控え室に顔を出すようにした。


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