第16話 夜会
ドレスも装身具もおまかせで準備が出来た。宰相さんとか、サイコさんとか一度は王様がこっそり様子を見に来た事から、わたしの評判はあがりっぱなしだ。
ソースは中庭で聞く、うわさ話しだが・・・・・まぁちょろい主人で楽な職場だよね
支度はケイトが来て指揮をとった、しかし身支度にどれほどの時間をかけるのだ。
でも仕上がりに驚いた。単なる美人のわたしが謎めいた妖艶な美女になっていたのだ。
たしかに希望は出したけど・・・・ここまでとは・・・・
あーーこの色気溢れる姿をやつに見せたかった。やつを悔しがらせたかった。
未練があるの?と鏡に写る美女に問いかける。いいえと微笑む。ほんとうに?ほんとうよ。
エスコートを引き受けてくれた宰相補佐のアルフレッド・ネルソンがやって来た。
ひと目わたしを見て、おおげさでなく驚いて立ち止まる。目に称賛の色がこもっている。素直にうれしい。
王宮のこの辺から会場は歩くには遠く馬車には大げさで、こういう場合なんと人力車が使われるのだ。
引いてくれるのは騎士団の志願者で、これも見目麗しい。
車その物は浮上を付与して有って宙に浮かんでいる。そうだ、車がないのだ。だからなんというのだろう。後で正確な名前を教えてもらおう。
とりあえず、二人乗りのそれに乗ってわたしは会場に着いた。
すぐに中に入った。なんというか映画とかでみたそれよりも豪華で広い部屋。電力の代わりに魔力、魔石を動力に明るい、温度も管理されているのだろうか?快適だ。
だんだん人が増えて来たが、人いきれの不愉快さはなかった。
アナウンスが始まった。
神殿長と神官長と地元聖女が二人。聖女は白を纏うのね。刺繍がすごい。手仕事がほんと素晴らしい。
宰相さんとサイコ聖女だ。宰相さんが睨んだような気がする。気のせいだよね。
サイコさんの衣装は地元より高いのかな?なんかそう見える。
最後に王族だ。王子二人、妃が三人、王様一人・・・・王子を見るのは初めてだ。それなりだね。
おぉ聖女の紹介だ!!やばい名前は?どうするんだ。
「こちらの聖女様は遠く異世界より奇跡的に来て下さいました。奇跡の聖女様です」
サイコ聖女は頭を下げた。なにも言わない。するとエスコートの宰相さんがあたりを見回しながらこう言った。
「奇跡の聖女様はこれで失礼いたします。みなさまは夜会を楽しんで下さい」
サイコ聖女はもう一度頭を下げた。それから宰相さんにエスコートされて去って行った。
なんとなくみんなポカンとなってしまったが、楽団が演奏を始めた。
王子二人はそれぞれ聖女でない令嬢を誘うと踊り始めた。わたしもアルフレッドと踊り始めた。
特訓のおかげでなんとか踊れる。楽しい。着飾ってきらきら笑う女の子。いろんなイケメン。
もちろん、わたしへ称賛の目を向けている。ふっふっふいい気分。
音楽が終わるとすぐに申し込まれたので、踊り始めた。
彼は伯爵家の次男だそうだ。くるくるまわる。まわる度に令嬢たちのドレスが入れ替わる。おや、地元聖女も踊っている。
曲が終わった。っと誰かに手を取られた。うっ・・・サイコさん。
次は宰相と。こんな所で絡みたくないと思ったけど、抵抗むなしくダンスの輪に加わった。
その後、どういうわけか、王子二人共ともダンスを踊った。なんというか、わたしが目立った夜会だった。
これ、嵌められたね。もう・・・・
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