少年

かりん

第1話

「少年」 かりん


幼さを瞼に残し孕み猫

全員でジャンプする先新樹光  

虹を見に駆くる少年背ナに羽根

重力を失ふ狭間雲の峰 

晴れ渡る日には木綿の白レース

流し目や次々上がる遠花火

冷麺を啜る開襟シャツひとり

夏暁や肌にひやりと金鎖

見覚えのなき天井や昼寝覚 

生まれては彷徨ふばかり蛍かな

星飛ぶや動物園の虎逍遙

釣り堀に魚釣るでもなくとんぼ

どうしても辿りつけない狐花

笹を贖ひ摩天楼の七夕

遠くからヘリコプター来星月夜 

大波に身を委ねたり冬鴎

オーロラは凍りつつ燃え旅の夜

冬の灯や影とステップ踏む夕べ

書き殴るスケッチの赤暖炉かな

百均の毛糸七色かかと鳴る

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少年 かりん @maricain

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