恋愛ジャンルの作品をお探しの方へ
おすすめ作品①
「そして私は化生する」(作者:中今透)
https://kakuyomu.jp/works/16817139556816650809
~貴葵さんによるレビュー~
※このレビューは小説のネタバレを含みます。
【ひとこと紹介】
読了後の余韻が心地良い、深いけどお堅くない、そんな純愛作品です。
【レビュー本文】
あらすじとタグから物々しい雰囲気が漂っていたので、読むことに覚悟が必要になるかな、と自分を鼓舞して読み始めたのですが……ジャンルを確認して納得しました。こちら、紛れもなく『恋愛』ジャンルとなっております。しかも純愛です。
200年前に身売りされて村人に信仰として殺され、桜の木に遺灰を撒かれて幽霊になったおちよと、そんな彼女を成仏させるために奔走する神職の金朗。金朗も戦争を経験していたりと、二人ともなかなかに重い過去を背負っていますが、前向きに成仏活動に取り組んでいました。そこで花開くのです、愛という桜が。
民俗学的な要素があるとのことで、専門的な内容なのかと身構えていたのですが、とてもわかりやすく書かれていて、難なく物語に没入することができました。『花咲爺』という馴染みのある題材だったのも興味をそそられました。
きっと、もっと高尚に難しく書こうと思えば、作者様の文章力なら軽々とできるはずなんです。でも、それをしていない。わかりやすい言葉を組み合わせて読者の想像力を掻き立てる。そういう意味でも『優しい』作品だなと思いました。
そして、幽霊と人間の心の揺れが、とても繊細に表現されていて胸打たれました。成仏するともう金朗に会えなくなってしまうおちよの葛藤と、幽霊だからこそ成仏させてあげたい金朗の愚直さが本当に愛おしくて……過去から現在、そして未来へ移り変わったおちよが咲かせた桜をぜひ見ていただきたいです。この物語には、最高のハッピーエンドが待っています。
おすすめ作品②
「海の王と風の娘」(作者:橘 紀里)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054917676869
~水涸 木犀さんによるレビュー~
【ひとこと紹介】
突貫娘とお人好し船乗りによる、熱量を孕んだボーイミーツガール
【レビュー本文】
明らかに身分の高そうな、ユーリと名乗る美少女に突然逆ナンパされる主人公のジェイク。
強引な要求を受け容れ、流されるように彼女の運命に巻き込まれ、また仲間たちと共に抗っていく海洋ファンタジーです。
ジェイクはノーと言えない体質なのか、ユーリに言われるがまま、諸々の宿命を受け入れているように見えますがそれも彼の強さの内。
どんな荒波をも恐れない心の強さと、恋敵をも受け容れる度量の広さによって、周囲の人々は絆されていきます。
またユーリとの関係もどんどん深まり、ほのかな恋情は分ちがたい愛情へと昇華されます。
クライマックスへとどんどん盛り上がっていく人間関係、ユーリの運命との対峙に目が離せません。
熱量高めな恋愛要素と、物語全体に横たわるシリアスな運命が絶妙にミックスされており、暗く・重くなり過ぎずに読み進めることができます。
上橋菜穂子さんの『蒼路の旅人』のような、船乗り×王族×冒険×ファンタジーといった要素が好きな方に、ぜひお勧めです。
おすすめ作品③
「水葬の蝶」(作者:まさみ)
https://kakuyomu.jp/works/16817139555715539806
~白玖黎さんによるレビュー~
【ひとこと紹介】
堪哀笼中蝶,欲去飞不得
【レビュー本文】
纏足を施された謎の娘と、屋敷の下働きの青年の切ない恋愛の物語です。
主人公である下男はある日、屋敷の庭で蝶の刺繍が施された靴を拾う。
持ち主のところへ靴を届けに行くが、そこで見たのは纏足された少女が蝶の翅をむしっているところだった。
不思議だが美しい彼女と何度も合うたびに、主人公は少女に惹かれていく。
しかし物語が進むに連れ、主人公は彼女とこの屋敷に関わる壮絶な過去に触れることになる。
とんでもない作品に出会ってしまった……もちろん、良い意味でです。
耽美な語り口が儚い物語となんともうまく調和しています。
登場人物から放たれる言葉ひとつひとつに魂がこもっているようで、リアルに鳥肌が立ちました。
そして迎えたラストシーンの満足感、納得感は素晴らしいものでした。
「悲しいことに籠の中の蝶は、飛び立つことができない」※ひとこと紹介文の和訳です。
ひとりでは飛び立てない囚われの蝶。
しかしふたりでなら、どこまでも飛んでいけることでしょう。
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