ミステリージャンルの作品をお探しの方へ
おすすめ作品①
「探偵の妻が強すぎる ─探偵 我妻強の随想録─」(作者:銀鏡 怜尚)
https://kakuyomu.jp/works/16816927859772135262
~一初ゆずこさんによるレビュー~
【ひとこと紹介】
優しい探偵と、強すぎる妻のヒューマンドラマ×ミステリー
【レビュー本文】
興信所を営む男・我妻強(わがつまつよし)には、『天下無双の妻』がいる――。
キャッチ―なタイトルに惹かれて読み始めた本作、本当に、探偵の妻が強すぎます!
冴え渡る推理で夫の探偵業をサポートし、絶対の自信と信念に裏打ちされた(時に夫にとって理不尽な)言動は、清々しいほど力強く、勇ましくて頼もしい姿が、読み手の心を惹きつけます。
けれど、推理では夫も負けていません。物語に散りばめられた謎の数々に、夫婦で挑んでいく姿を見守るうちに、確かな絆で繋がれた二人から、目が離せなくなっていきました。
エピソードごとの謎も大変凝っていて、読み進めながら推理をあれこれと巡らせたものの、我妻夫妻より先に解くことは叶わず……! 夫婦の絆を描いたヒューマンドラマとしてだけでなく、ミステリーとしても非常にレベルが高いと感じました。
時にコミカルで、時にシリアス、人と人との繋がりの温かさも感じる物語を、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。とても面白かったです!
おすすめ作品②
「毒蟲は土に蠢く」(作者:児島らせつ)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886209094
~烏川 ハルさんによるレビュー~
【ひとこと紹介】
伝奇小説と本格ミステリの融合! 紙の本として本屋で買いたくなる作品!
【レビュー本文】
ミステリ作品ですが、キーワードに「伝奇」とありますし、あらすじも「やがて殺人の裏に隠された大きな秘密を知ることになる」という文面で締められています。
プロローグにも伝奇ロマンを感じさせる雰囲気がありますが(序章一)、本編はいきなり現実的な殺人事件から始まります(序章二)。本格ミステリの香りが強く漂う展開であり、序盤は「伝奇風味で味付けした、本格派の謎解き小説なのだろう」という印象でした。
途中から「本格ミステリ小説としての謎解きよりも、壮大な過去を暴く方がメイン?」と感じて、逆に「謎解きミステリ小説の体裁を借りた伝奇小説なのではないか」とも思ったのですが……。
解決編を読んでびっくり! どちらも「風味」や「味付け」ではありません。伝奇小説であると同時に、しっかりとした本格ミステリでした!
文体やそれによって綴られる雰囲気など、とても読み応えある作品です。重厚ですが重苦しくはありません。襟を正して読みたくなるほど、ぎっしり中身の詰まった物語です。
web小説としては埋もれてしまいがちな作風かもしれませんが、だからこそ逆に、こういう小説を好む方々もおられるでしょう。是非オススメしたい作品だと思いました。
おすすめ作品③
「楽園の子どもたち」(作者:陽澄すずめ)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880431033
~浅川瀬流さんによるレビュー~
【ひとこと紹介】
真実を追い求めた先にあるのは、地獄か楽園か?
【レビュー本文】
まじで面白い。最高に面白い。くっそ面白い。語彙力失う面白さでした。
ミステリでもあり、サスペンスでもあり、人間ドラマでもある作品。全の章と一の章、二つが交互に展開されていきます。
全の章では、不思議な村を舞台にした七歳の少年・ユウマの視点、一の章では、警察局の生活安全課に勤務する女性・一ノ瀬の視点で描かれていく。全く異なる二つの世界がどう絡んでくるのか。
読み始める前は、視点が交互ということで読みにくいのかな?と思いましたが、全然そんなことはないです。作中の違和感が気になりすぎて、きっと続きを読みたくてしょうがなくなります。
ホラーではないはずなのに、鳥肌がたつような怖さもあり、めちゃくちゃハラハラしました。楽しすぎます。
家族とは何か、大切な人とは何か。全の章に出てくるユウマの心情の変化がすっごく胸に突き刺さってしんどいです。また、一ノ瀬がかっこよすぎて「いけー!やっちまえー!」と場違い感半端ないですが応援したくなります。
言いたいことはたくさんあるはずなのにネタバレになりそうなので、これ以上言えませんっ!
真実を追い求めた先に彼ら彼女らが見たものは、楽園か、それとも地獄か?変革を受け入れる覚悟はできているか?
さいっこうに面白い作品でした!ぜひ読んでみてくださいっ!
おすすめ作品④
「紅梅様の仇を討て」(作者:真名鶴)
https://kakuyomu.jp/works/16817330650978665096
~津多 時ロウさんによるレビュー~
【ひとこと紹介】
女と男、紅と白、隠と顕、神と人に荒魂和魂。そして夜と朝が織りなす物語。
【レビュー本文】
第1章「終 霞に紛れて失せにけり」まで拝読しました。
神を喰らう衝撃的なプロローグから始まり、続く第1章の序は煉獄の如き女の恋慕。
その迫力に、読者がやっと呼吸を思い出すのは第1話の途中からとなるのは想像に難くない。
このミステリーの舞台は文明開化も真っ盛りの明治時代の日本をモデルとした(と思われる)国。
玉垣内と呼ばれるその国ではかつて顕(アラカ)を名乗る人々が、隠(ナバリ)と呼ぶ者たちを駆逐した過去を持ち、都を移した後もアラカは何かとナバリを異端視している。
主人公・藜夜光(あかざ やこう)はナバリの女子でありながら、そんな瓊花の都で古書店の店主・榊巴衛(さかき ともえ)に拾われ、アラカの男子の振りをし、アラカになりきり、アラカに紛れて暮らしていた。しかし、軍の特務中尉であるもう一人の主人公・橘朝澄(たちばな あさずみ)と出会い、とある事件の捜査で「横暴」にも行動を共にするうちに、やがて夜光の心は変化してゆくことになる――
巧みな描写に、読み進めるほどに時代の風情と日本的な神の気配を感じずにはいられない作品です。
特に明治・大正浪漫が好きな人にはたまらないことでしょう。それこそ、文明を開化させているものが電気や瓦斯でないことを忘れてしまうほどに。
また、伏線・前振りの見せ方も文章同様に洗練されていて、一言一句を咀嚼し、反芻し、推理するのが正しい楽しみ方なのだろうなと思わせてくれます。第1章を最後まで読み終わってから再度、序を読むと一層、物語への理解が深まるというような。或いは紙の書籍であればメモを書いた付箋を所々に貼り付けるような。
この作品の楽しみ方としてはもう一つ。
物や登場人物の名前に込められた意味や対比を読み手それぞれが考えるのも面白いと思います。
それは例えば、夜光と朝澄の対比であったり、なぜ藜なのか、桔梗とは、榊とは、ナバリとは、アラカとはなんなのかということ。
最後に。
第1章が終わったものの、まだまだ多くの謎が残されており、第2章以降の展開にも大変に期待が持てます。
ライトノベルから卒業したい、和風ファンタジーを読みたい、明治・大正浪漫を感じたい、美しい文章を読みたい人は是非。
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