File.150 兄と妹③

最初こそ、粘性の化け物の姿で見えていた妹だったが、時間が経つにつれて俺の知っている妹の姿に変わった。その事を魁兄に報告するとまるで自分のことのように喜んでくれた。


「良かったじゃないか!!もしかしたら翔太が見てすぐに気持ち悪くなってしまったりする原因はそれだったのかも知れないな!!人じゃなくて化け物と会話するということが精神的に異常をきたす感じだったのかもな…」


「そうなのかな…」


「俺や翔太でもわからないんだから、特段気にすることはないさ!!まぁあくまで仮説だが、その化け物の姿は妹に対する精神的なフィルターのような役割を果たしていたんじゃないか?」


「どういうこと?」


「直接妹の姿を見ると、また精神的なダメージを負ってしまう可能性を考えて君の中にいる他の人格達が姿を変えてうつしていたんじゃないかって話だ。だけど、まさかスライムとして見せるのは悪趣味だよな…」


「まぁ結果として再び妹の姿を見ることが出来たし、俺としても満足してるよ。それと一つ思ったんだけどさ…俺の中にいる他の人格たちとはもうお別れなのかな?」


「どうだろうな…そういうのに詳しければ正しい意見を言えるのだけど、詳しいわけじゃないからな…」


「魁兄は法律が専門だもんね!!どうにかして聞けると嬉しいんだけど…」


俺は以前と同じ様に心のなかに話しかけた…しかし、誰も反応してくれなかった…


「魁兄…やっぱり、もう居なくなっちゃったのかもしれない…」


「大丈夫さ。他の人格が居なくたって、翔太は一人でも生きていけるはずさ!!例えどんなに辛いことがあったって俺や周囲の人達が全力でサポートしてあげるから、翔太は好きなことを好きなだけやれば良い」


「…」


「それに、君の中に居た人格たちだってそれを望んでいるはずさ。中にはほとんど合わない人格だって居たかも知れないけど君の幸せを願ってくれているはずさ。」


俺の中に居た彼らは今何処にいるのだろうか…もしまだ俺の中にいるなら、落ち着いたらでいいから話しかけてくれないかな…


俺は期待しながらも、自分のやるべきことに専念することにした。


「それじゃあ、この病院から出よう。目的を達成することは出来たんだし、トラウマだって克服できたんじゃないかな!!」


俺は車椅子から降りて周囲を歩き始めた。この病室に来たときよりも時間が経っているはずなのに、明るさが増しているような気がする…


「ようやくこれで終わったな…」


お母さんの問題やお父さんとの問題はまだまだ残っているけど、それは時が解決してくれるだろう…お母さんは俺のためという口実で、人を殺してしまった…いくらお母さんと言えど、そんな理由で人を殺すなんてあってはならない!!


「…俺の事をはめた人だけど、お母さんが殺すだなんて思ってもなかった…もし生きていたら、また謝ってもらいたかったのに…それすら出来ないだなんて…」












今日も見てくれてありがとうございます!!


皆さんからのコメント随時お待ちしております!!なるべくコメントを返そうと思っていますので、感想なんかを書いていただけると幸いです!!


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若干深夜テンションで書いているので、間違っている所があったらすみません…

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