殺人鬼に恋した女子高生
聖羅
最初で最後の花束を -開幕-
私は今年で高校一年生になる女子高生だ…私が今住んでいる市には指名手配されている殺人鬼が潜伏しているらしい…
「お姉ちゃん〜おはよう!!」
「おはよう亜理沙…私眠いから申し訳ないんだけど、ご飯は冷蔵庫から取って食べてね…」
「分かった…お姉ちゃんもしっかりと御飯食べないとだめだからね?」
「うん…寝るから亜理沙が家を出るタイミングで私のことを起こしてくれない?」
「わかったよ!!」
私が高校に入学してから大体2ヶ月位が経過した…テストやいつもの小テストをしっかりとこなす事が精一杯で友達と遊ぶ事は出来ない…
「もう少しすれば皆と遊べるようになるのにな…」
明日学校に登校すれば、テスト期間が終わりテスト等の勉強を遊ぶことができるようになるのだ…
「はぁ…テストも頑張らないといけないし…明日はあんまり自信がない教科しかないな…」
明日の教科は数Ⅰと歴史総合と公共だ…私はあんまり社会科の教科は好きじゃないから中学校の時から社会科のテストで点を取ることが出来ていないのだ…
「お姉ちゃんのことを起こさないと…起きて〜お姉ちゃん!!」
「う〜ん…ありがとう…」
「ご飯とか一応用意しておいたけど大丈夫?」
「用意してくれたの〜ありがとう!!」
「良いの!!お姉ちゃんも高校三年生なんだから受験に向けて頑張ってね?」
「うっ…受験は正直あんまり気が向かないな…推薦で行くにもちょっとだけ足りないし…」
「しょうがないでしょ?お姉ちゃんは高校一年生の時に、テストで点数をしっかりと取ることが出来なかったのが悪いんでしょ?」
「そんな悲しいことを言わないでよ〜酷いよ〜」
「私はもう行くからね!!もし学校に遅れたら許さないからね!!」
私はそうして学校へと向かった…
私の学校は私とお姉ちゃんの家から大体一時間くらいかけていけるところにある…急行の電車に乗って3駅先で降りる…そして駅においてある自転車を使って学校へといつも向かっている…
家は駅に比較的近いため、バスを使わなければいけないというわけでもない…そして私の学校は朝の6時50分から校門が開き、8時50分ほどまで校門が開いている…遅い人は40分や45分頃に来るらしい…
私は満員電車が嫌いだからなるべく早く、学校に行くことにしている…私が最近行っているのは大抵7時位には学校につくようにしている…
「ふぅ…今日もギリギリ電車に間に合ったな…本当に危ない…」
私は電車に揺られながらスマホでニュースを見る…ニュースでは私とお姉ちゃんが住んでいる地域に関連するニュースを優先して表示するように変更している…
「はぁ…最近は物騒な事件が多いな…」
私とお姉ちゃんが住んでいる地域に指名手配されている殺人鬼が居るらしい…これは知っていることだが、加えて様々な特徴が追加されていた…
「へぇ…犯人は世界のトップ俳優のような顔をしており、見た目に騙されないように注意するように…か…変だな~そんなに顔が良いなら、アイドルとかで売れると思うんだけどな…」
殺人鬼って言われると何となく怖い人達ばっかり出てくるんだけど…そんなにかっこいい人なのかな?
「ふぅん…髪の毛は銀と白の混じったような色で瞳の色は青みがかった黒…なんか合わなくない?」
口ではそう言っているものの正直私は気になっていた…どんな感じの人なんだろう?って…
「亜理沙!!おはよう!!」
「神奈ちゃんおはよう!!」
私と神奈ちゃんはこの高校に入ってから初めて友だちになった子だ…席が前と後ろだったため、結構話すようになりいつの間にかメッセージアプリもお互いに登録するようになった…
「亜理沙ちゃん〜最近のニュース見た?」
「どうかしたの?」
「いやさ、亜理沙ちゃんの方の市で、確か殺人鬼が潜伏しているんでしょ?」
「うん…確かいる…と思う」
「どうなんだろうね…公開されている情報だけじゃ正直分からなくない?」
「うん…確か同じ手法で200人以上の人を殺害しているんだよね…それで殺害している人の特徴は一致しないし、その場に証拠の一つも残さないから最初はたしか捜査が進まなかったんだよね…」
「まるでこの事件のことを知っているみたいな言い方だね?」
「そりゃそうよ!!私のお姉ちゃんが警視庁の人だからね…」
「凄いね…」
彼女はいつも楽しそうにしていて学校でも沢山の友人を作っているらしい…
「そう言えば今日でテスト終わりだけど、亜理沙ちゃんも一緒にあそこ行かない?」
「どうしようかな…でも今日はちょっと用事があるからな…今週の日曜日でどうかな?」
「わかった!!取り敢えずじゃあ日曜日で行こう!!それでさ…」
私と神奈ちゃんは一緒に毎朝登校している…そして学校について教室に向かう…
「じゃあ亜理沙ちゃんここでお別れだね!!」
「また放課後会おうね〜」
私と神奈ちゃんの教室は離れているため、階段を登ると別々になってしまう…
「はぁ…テスト退屈だな…」
私はテストの事を考えながらも、家に帰ってから何をするか考えていた…
テストが終わり私は学校を出て家へと向かって自転車を走らせた…駅に自転車を止めて、電車で数分揺られた後、駅から降りて私の住んでいる家へと歩いていく…
今日はテストが終わり気が緩んでいたのもあって色々なお店で買物をしながら帰っていた…
「沢山買い物しちゃったな…まぁ大丈夫でしょ!!」
私はいつもあんまり買い物をしていないんだから今日くらい買い物しても大丈夫だよね?
私は買い物した袋を持ち再び歩き出した…そして私は路地裏に入っていく一人の男性を見つけた…いつもなら気にならないような男性だったが今日はなんだか些細なことでも気になってしょうがない…
「本来、路地裏に入るのはあんまりしないほうが良いんだけど…まあ大丈夫でしょ」
私はその男性の後をつけてみることにした…男性はどんどん奥の方へと進んでいく…私は不安になりつつもその後をついていく…
「一体どこまで行くんだろう…正直こんな奥の方にまで行くとは思ってもいなかった…」
私は不安を感じながらもついていく…そして男性は立ち止まりその場に座り込んだ…
「大丈夫かな…急に座り込んじゃったけど…」
私は物陰に潜みながらも、男性が何かを言うんじゃないかと思って耳を傾ける…
「はぁ…はぁ…俺の情報を世間に公開してくれちゃって…本当に困るんだけど…」
男性は小声で何かを言っているようだ…正直離れすぎていてあんまり聞こえない…
「うぐっ…痛ってぇな…」
私はその言葉を聞いて流石に放置できないと思い彼の方へと立ち上がり近づいた…
「あの…」
「んあ?」
そう言って私の方に振り向いた彼は…とても格好良い人だった…
「あっあの!!」
「良いか?お嬢ちゃん…此処は君みたいなきれいな人が来るべき場所じゃないぞ?」
「そうですね…こんな路地裏なんて殆ど来たことありませんけど…それよりも、傷がどうしたって聞こえたんですけど…」
「あぁ…それは大丈夫だ…俺のことは気にせずに、君はあの明るい街へと帰りなさい…」
「でも…」
「君は俺のことがわからないのか?」
「はい?お兄さんは確かに格好良いとは思いますけど…」
「はぁ〜お前テレビと言うか、ニュース全般見てないの?」
「一応は見てますけど…」
「ならこの顔を見て思い浮かばないかい?」
「…まさか」
「俺が何をしたか分かるんじゃないか?この服を見れば分かるだろう?」
「殺人鬼…」
「その通り…流石にこの場所を通報されると困るけど…まぁ最悪は良いかな?君みたいな子だったら拐って口封じしちゃえば良いからな」
「…」
「なんで黙っているんだ?それに顔も赤いぞ?熱でもあるんじゃないか?」
「熱は有りません!!」
「急に大声出さないでくれよ…耳がおかしくなっちまうよ…」
「あっ…それはごめんなさい…」
「それにしても普通のやつなら、殺人鬼だって聞いたら普通は逃げ出すのに…どうしてお前は逃げ出さないんだ?」
「わからないです…でもなんかほっとけないというか…」
「へぇ…君がおとなになったら良い人になりそうだ…俺みたいな悪じゃなくてな?」
「…一つ聞いてもいいですか?なんで貴方は殺人なんてしてるんですか?」
「君はそれを聞いて何になるんだ?」
「私が貴方のことを知ることが出来ます!!」
「…俺が殺した人数は最近は4人かな…ここの裏路地に元々いた奴らなんだけど…俺に突っかかってきたからつい殺しちゃった…邪魔されたからしょうがないよね?」
「それは分からないですけど…そういう死体の処理みたいのってやっぱするんですよね?」
「そりゃするけど…というか君はもう帰りな…おれと関わっていることが知られたら警察から色々と聞かれて、友達や家族との繋がりが切れるぞ?」
「友達…家族…わかりました…」
私は殺人鬼から言われた通り家族や友達とのつながりは大切にしたい…でもあの殺人鬼のことが頭の中にずっと出てくる…
あの人のことを見ると自然と胸の鼓動が早くなって苦しくなる…
「この感情は何?私…もしかして…好きになっちゃったの?殺人鬼を?」
私は殺人鬼が…すっ…好きなのかもしれない…この気持ちが本当なのか今度試さなきゃ!!
「ただいまお姉ちゃん!!」
「おかえり…私はあっちに言って戻ってくるだけだったけど…テストはどうだった?」
「う〜ん…まぁ上々かな?そっちは?」
「私に勉強を期待されても困るなぁ…?私が勉強できるわけ無いだろう?」
「お姉ちゃんは昔から勉強はできないよね…運動とか他のことは全部高水準でできるのにさ…」
「私はそういう人だからね…頭を使ってするのは無理だけど直感でするのは得意だよ?」
「そう言えばさ…お姉ちゃんって好きな人って居るの?」
「急にどうしたの!!妹よ!!」
「いや…ちょっと…」
「まさか…私よりも先に付き合おうというのか!!私はまだ付き合ったこともないんだぞ!!」
「そういうわけじゃなくて…」
「学校の人か!!いやそうに決まってる!!」
「学校の人じゃないよ!!私が好きな人は…」
「好きな人は?」
「やっぱりいわない…」
「酷いよ!!私と亜理沙の仲でしょ!!」
「私…恋って感情今まで知らなかったから…その人のこと一目惚れしたと言うか…なんと言えばいいか…」
「どんな感じの人だった?やっぱりイケメンだった?」
「うん!!めちゃくちゃイケメンだったよ!!」
「そうか…いいな〜私なんて好きな人ができても振り返ってくれないんだぞ?それに私が勇気を出して告白してもごめんなさいって振られるんだぞ!!いいじゃん!!ずるいよ〜」
「私にそんなことを言われてもな…まぁ良いや!!」
私はお姉ちゃんのことが好きだ…今までいろんなことをお姉ちゃんに頼ってきたし
両親に代わっていろんな世話をしてくれたのもお姉ちゃん…
「いつもありがとうね?お姉ちゃん」
私をいつもみてくれているのはお姉ちゃん…私にとって世界で一番私を理解してくれている人だ…
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