File.142 イモウトとの対話③(魁戸視点)

「マンションってあそこであってるのかな?」


俺は翔太を連れて行く予定の場所である、彼の妹がいるであろうマンションの前に来ていた。


目標としては、翔太の妹が今どんな状況にいるのかを知ることだ。もし精神的にまずい状況になっているのなら、気をつけるように翔太に言う必要があるな…


「ふぅ…さっき部屋から出てきたっぽいから出てくるかも知れないな…とりあえず一度ここから離れないといけないな…マンションの玄関の前に居たら不味いな」


俺は車を一度動かしてマンションの前からどいた。そして、サイドミラーで見ることができるような位置に止めて確認を続けた…


そして数分が経過した頃、マンションから人がひとり出てきた。そこにいたのは、俺が知っているのとはかけ離れた容姿の翔太の妹だった…


俺が最後に見たのは数週間前だった気がするが、この数週間でここまで変わってしまうのだろうか?


疑問に思いながらも、確認を続けていると妙なことを口走っている気がした…車の中から見ているだけなため何を言っているのかはわからないけど、口の形だけははっきりと見ることが出来た…


『お兄ちゃん』


おそらくこう言っているのではないだろうか?今の状態であわせるのは非常に危険だと思う…一度翔太のことを嫌われても良いから説得して、止めないと不味いな…


「翔太…本当に今の妹さんと話が通じると思っているのか?こんな状態の彼女と話すのはあまりにも危険だ…せめて大人を数人連れて行かないと不味いんじゃないか?」


俺は不安を抱えつつも、車を発進させた…再度見ると、彼女はコンビニに向かっているようだった。以前とはかけ離れた様子だったが、学校には行っているらしく、履いている靴は見たことがあるものだった。


「あの子が変なことをしないと良いのだけれど…この前みたいに、零斗先輩の娘さんと一緒に居るところを見たりして嫉妬とかされると一番めんどくさいことになりそうな気がするな…嫉妬に狂われると一番困る…」


明日には翔太を乗せてここに来なければならないと思うと気分が憂鬱だった。せめて俺以外にも大人が一人必要かもしれない…話し合うのなら、相手が暴力をしてこないように抑えられる人がいる必要があるだろうし…


「零斗先輩はいけるかな?もし、行ってくれるってなったら一番良いんだけど、難しいだろうし突然のお願いだから聞いてもらえないだろうな…ここは俺が上手いこと調整しないと不味いな」


翔太を説得してもう少し先延ばしにしてもらうか、それとも零斗先輩に頼んで強行するか…前述のほうが確実だろうし、翔太に聞いてみるか…









今日も見てくれてありがとうございます!!


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