劇場版バウムクーヘンマン まもれ! みんなのツイッタランド!

金澤流都

バウムクーヘンマンvsイローン仮面

【ここまでのあらすじ】

 たくさんのなかまたちがたのしくツイートし、たのしくクソリプをしたりたのしくまきこみツイートをしたりしていたインターネッツガンジスがわことツイッタランド。へいわだったツイッタランドはあるひ、わるいおうさま「イローンかめん」により、とつぜんだいこんらんにおちいった! そこにあらわれたのは「愛と勇気しか友達がいないことに定評のある男」こと、われらが「バウムクーヘンマン」であった!

 そしてバウムクーヘンマンはついに、イローンかめんとあいまみえたのである!


 ◇◇◇◇


「ううっ。乾いてぱさぱさになって力がでない」


 さっそくバウムクーヘンマンはピンチだった!


「ふっふっふ。私はパロディ垢をリツイートする余裕があるのだよ? はやく諦めて課金したまえ。ツイッターブルーはだれもが欲しがる公式マークを与えることができるんだ」


 イローンかめんはあくまで余裕の態度を崩さない。バウムクーヘンマンは、パサパサになった顔を抑えて立ち上がる!


「いや……無数のツイッタラーが、ぼくの味方だ! 公式マークなどなくとも、API制限がかかっていても……それでもツイッターをひたすら眺めてしまう、ツイ廃のみんなが、ぼくを応援している!」


 バウムクーヘンマンは拳を握り固めて、イローンかめんを睨んだ。イローン仮面は不敵に笑うと、


「お前は『レディ・プレイヤー1』という映画を観たことがあるか?」


 と、バウムクーヘンマンに問うた。


「知っているとも。ネトゲ世界の物語で、最後には主人公はリア充になってネトゲにログインできない日をつくる……そんなの、許されない! バーチャルの世界でだけ元気でいられる人間が、この世にはたくさんいるんだ!」


「貴様、幼児向けアニメのくせにハリウッドを否定するのか。ふふ……ツイ廃を名乗るなら課金したまえ。そうすれば万事解決する。公式マークが欲しくないのか? それともツイッターをいっときやめることこそが善行であると認めるか?」


「……ぼくは、ツイッタランドのありとあらゆる愛を信じる。ぼくのリアルの友達は愛と勇気だけだ。しかしツイッタランドには、『お兄ちゃん、なんでスマホのケーブルすぐ被覆剥がれるん?』というツイートに『節子それドロップちゃう、スマホのケーブルや』とリプライしてくれるフォロワーがいるんだ。リアルの世界にこんな仲間はいない!」


「ウグっ」


 イローンかめんは言葉を詰まらせた。


「ぼくは10年以上、このツイッタランドというガンジス川で暮らしてきた。もうよそのSNSにはきっとなじめない。インスタもフェイスブックも、疎外感しかない。でもツイッタランドの仲間たちは、みんな楽しい仲間なんだ!」


 そうだ、とツイッタランドの民たちから声が上がった。


「ツイッタランドは、終わらせない!」


 そこに駆けつけたブランデーさんが、バウムクーヘンマンになにかを投擲する!


「バウムクーヘンマン! 新しい顔よ!」


「うぬぅ?!」


 イローンかめんは腰を抜かした。バウムクーヘンマンがあまりに堂々としていたからだ。新しい顔は焼きたてホクホクのバウムクーヘンである。


「いくぞっ! 『ニチアサとガン●ム最終回と大河を実況したかったツイッタラーの恨み』! そして『ガンダム最終回に向けて大金を払いタグに絵文字をつけたガ●ダム公式の恨み』!」


 イローンかめんの仮面が割れる! そこには、普通の男の顔があった……。


「さあ、イローンかめん。きみはもう敵じゃない。ツイッタランドで、ぼくたちと一緒に暮らそう」


「……ふふ。そうだな。ツイッター以外に私の居所はない……これからはのんびりと焼き鳥でも焼いて暮らすさ……」


 こうしてツイッタランドの平和は守られたのであった! というふうになったらいいなあと思う。それがわたしの感想です。

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劇場版バウムクーヘンマン まもれ! みんなのツイッタランド! 金澤流都 @kanezya

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