第6話 約束

//SE 教室の戸を開ける音

//机に突っ伏す


「はぁ~。疲れた」


//SE ペンを机に放る音

//むくりと起き上がる 服と机が擦れる音


「あ、そうだ。あのね、あの後当たったの。ぱんだぬい。今日届くんだ~。ほんと楽しみ」


//SE 風鈴の音


「......補習、これで終わりだね。夏休み終わるまで会えないのかー」


「アンタは関東住みだっけ。私は東北住みだから、だいぶ遠いね」


「あれ?言ってなかったっけ。そう、私東北っ子だよ。ちょうどいい田舎って感じ」


「ふふん。徒歩三分で山があるよ。修行にはいいね。やんないけど」


「あと畑があって、田んぼがあって。夜は蛙がめっちゃ鳴いてる。ふふっ。蛙怖いの?小さいやつだよ。こんくらいの」


「アンタが住んでるのはどんなところ?」


「えっ東京なの?大都会じゃん。いいな~。毎日お祭り状態だ。大げさ?田舎もんにはそう見えるの!」


「考えてみればすごいよね。こんなに離れてるのに、毎日同じ教室で会えるなんて」


「......」//迷い


「残りの夏休み、アンタは何か予定あったりするの?」


「塾の合宿に行かされそう?うわー、地獄すぎ。断れないの?アンタ頭いいじゃん」


「私と一緒に補習受けたのだって、転校したばかりだからでしょ。来年は多分、指名されないよ」


「私一人だけで......」//寂しそう


「なんか塾みたいじゃない?マンツーマン補習」//わざと明るく


「なに?じっと見て。はっ!?もう少し話したいって......」


「ううん、いいよ。私も、話したかったし」//嬉しい


//SE 廊下を歩く音


「カフェ行こうよ。スイーツ食べたい」


「アンタはまだ行ったことないんだ?すぐ近くだよ。学校の周り、小さい街みたいになってるじゃん?そこにあるの」


//外に出る

「はぁ~。解放感やば」


//SE 歩く音


「あそこ。あの中華っぽいお店」


//SE 入店する音


「ふふん。貸し切り状態だ。いつもはもっと賑やかなんだよ」


//SE メニュー表を捲る音


「何にする?イベントに付き合ってくれたお礼に、おごってあげる」


「私は三日月パイと紅茶にしようっと」


「決まった?星屑ゼリーね。飲み物は水でいいの?」


//SE 書く音


「ここ、こうやって自分で注文票を書くスタイルなの」


「よし。すみません兎さん。これお願い」


//SE 謎の鳴き声

//SE コップに水を注ぐ音


「あのあと調べたんだけどさ、あのおっきいサメ、メガロドンっていうんだって」


「なんで絶滅したんだろ。あんなに強そうなのに。体が大きすぎて、すぐお腹減っちゃうからかなぁ」


「うん?バーチャルなのに待ち時間があるのが不思議?言われてみれば確かに。けど待つのが逆に楽しいみたいなとこない?」


「きたきた。ありがと兎さん」


「美味しそう~。こういう焼き菓子のにおい好き」


//SE フォークをざくりと刺して、ナイフをパイ生地にさしこむ音


「林檎あま~。食べても太らないとか最高」


「そのゼリーってブルーハワイ味?キラキラしてて綺麗」


「味見していいの?じゃあ、一口もらうね」


//SE スプーンとガラスの皿があたる音


「ん、美味しい。ソーダ味だ。私のもあげるね」


//SE パイを切り分ける音


「ううん。取り皿じゃなくて。口開けて?」


「美味しい?ふふっ。私これが一番好きなんだ。期間限定メニューのやつも好きなんだけど」


//紅茶を一口飲む

//SE カップを置く音

//窓の外の景色を眺める


「......」ぼんやり


「海行きたいなー......。アノマロカリスもメガロドンもいない海」


//視線を戻す


「なに?なんか言いたげだね?」


「もう。それが今の時代にいないことぐらい、私にも分かってるから!」


「......」//迷い


「......あのさ。今度一緒にゲームしない?」


「あははっ!ごめん急に。なんかこないだ楽しかったから」


「色々、勉強のことで大変なんだろうなって、知ってて誘うのはずるいかな」


「いいの?やった!じゃあ約束ね」


「いつにしようかな。アンタ、好きなゲームある?」


「あー、ゲームやらないんだっけ。じゃあ私のおすすめでいい?」


「ふふん。何にしようかな~」//何か企んでいる感じ


「連絡するから、楽しみにしてて」


「それから私からの宿題。頑張りすぎないでちゃんと休むこと。夏休みなんだからね」


//SE 店を出る音


「じゃ、バイバイ。またねっ」//はずんだ声で

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【asmr】2人きりの夏補修 氷砂糖 @hfffvk2

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